一億総活躍社会が掲げられてからずいぶんと経ちますが、まだまだ実感がないですね。いまだに待機児童問題や介護退職などさまざまな問題が山積みされているのが日本です。ここでは一億総活躍時代に向けた働き方改革、ワークライフバランスについて整理していきたいと思います。
記事の目次
働き方改革とは?
日本は少子高齢化でどんどんと労働力が足らなくなっています。100年後には人口は今の半分以下になるともいわれ、今後も労働力の減少が問題視されているのです。労働力が減少すると消費も減少し貧しい国力のない国となってしまいます。
そこで政府が対策として打ち立てたのが「働き方改革」です。労働力の不足を補うために女性や高齢者にもっと働いてもらう、そのために仕事のしやすい環境や仕組みを改革していくことになっています。
働き方改革3つの柱
- 長時間労働の解消 → 働き手を増やす
- 非正規と正社員の格差是正 → 出生率の上昇
- 高齢者の就労促進 → 労働生産性の向上
<長時間労働の解消 → 働き手を増やす>
日本は世界的に見ても長時間労働に従事している人が多い国です。また過労死やストレスによるうつ病も決して少なくないといわれています。日本は高度経済成長期に「働けば働くほど暮らしは豊かになる」という常識がありました。
そのため勤勉な国民であるともいわれていますが、グローバル化の中にあってすでに時代遅れな考え方となったのです。そこで時間外労働の上限規制を導入することにしました。
<非正規と正社員の格差是正 → 出生率の上昇>
日本がワーキングプアの多い国だとご存知でしたか。それは正社員の給料の6割しかえられない非正規雇用が多く、特に多くの女性や高齢者がパートやアルバイトであることが原因とされています。この格差是正のために以下の対策がなされています。
- 同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備
- 非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進
出典:https://bowgl.com/2017/09/07/work-style-reformation/
同一労働同一賃金または正社員化することで、消費の底上げ(景気回復)が期待できるのです。
<高齢者の就労促進 → 労働生産性の向上>
「やっと定年を迎えたので余生はゆっくり・・・」そんな時代は終わったようです。高齢者の6割が65才を超えても働きたいと考えているという調査結果がでています。動ける間は一生労働しなくてはならないのかもしれません。
- 継続雇用延長・定年延長の支援
- 高齢者のマッチング支援
出典:https://bowgl.com/2017/09/07/work-style-reformation/
働き方改革で今後期待できること
- 子育て世代の給料のアップ
- テレワーク導入(在宅勤務化)
- 有給の3連休化
- 育児のための短時間勤務制度
- 社内託児所設置
- 有給の1時間単位取得
働き方改革によって、本来ならできなかった仕事に就けるなど、いいことづくめのような制度ですが、基本的には各事業所によって待遇は大きく違ってくるでしょう。
労働生産性が低いといわれている日本ですが、働く時間が自由になることで効率が上がり、短い時間でより大きな成果が出せる可能性があります。
引用:https://pixabay.com
ワークライフバランスとは?
ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」です。国民のひとり一人がやりがいと充実感を持って働き、出産、育児など人生のステージごとに応じて多様な選択ができるという生き方を指します。
わたしたちはこれまで、出産や育児など人生のステージごとに社会や企業に合わせるしかなかったわけですが、これからは社会や企業が働きやすい方法を提供してくれるということです。
ワークライフバランスが世界最下位の国
世界的に見るとワークライフバランスは特別な取り組みや政策ではなくて、ごく当たり前の考え方といったものです。仕事と家庭、どちらが優先ということはなくて、それぞれが相乗効果で高めあうということ。
仕事を頑張れば収入が増えて家庭が充実して、すこやかな家庭生活によって仕事のスキルもやる気もみなぎるという考え方なのです。ところが日本はこのワークライフバランスが45ヶ国中最下位となっています。
日本は仕事と生活のバランスがとても悪い国であるということになります。言い方を変えれば自分の生活を犠牲にして仕事をしなくてはならない国だということです。とてもショックだと思いませんか。
出典:https://zuuonline.com/archives/134722
とはいえアメリカなどでは男性労働者の89%、女性労働者の87%がワークライフバランスの実現は不可能と考えていることがわかっています。またワークライフバランスを実現するには高い所得が必要だとの根本的な問題もあります。
ワークライフバランスが求められる理由
今、ここへきてワークライフバランスが強調されるようになったのかというとその背景にあるのが「少子高齢化」です。女性にとって育児休暇はまだまだじゅうぶんとはいえません。
結局、子供ができたら退職し、その後、子供が手をはなれても元の職場へ戻ることは実際には不可能となっているのです。そのため育児休業制度が整備された1990年以降も少子化は止まらず年々出生率は下がっています。そこで少子化対策基本法などの策定によって企業には育児と仕事の両立を支援することがようやく義務化されました。
男性にとってもワークライフバランスが重要となっているのが親の介護問題です。親の介護をするために退職するしかなかったという人はたくさんいます。介護の時期に安心して休業できる制度をもつ企業がこれからは求められるのです。まさしくワークライフバランスは社会が健全に機能するために必要なものなのです。
引用:https://pixabay.com/
働き方改革の事例とアイディア
働き方改革は子育てがしやすくなったり、親の介護のために長い休みが取れたりと従業員がより働きやすい環境、仕事を続けやすい仕組みをもたらしてくれます。しかし従業員への福利厚生を向上させることだけではありません。
従業員も残業をなくすために仕事の質を上げたり、ムダな経費を削減したりとできることはたくさんあるのです。
ビジネス版Facebookの活用により時間削減
ビジネス版Facebook「Woekplace」は社内でのメールのやり取りによるタイムラグやメールを作成する時間を徹底的に削減できます。なぜなら、共有事項や報告事項が発生した時に「いいね!」をクリックするだけでいいのです。
Workplaceの良い所は、「いいね!」をすることで「確認しました」「承認しました」といった反応を示すことが出来る点です。メールだと、そういった反応をするために返信をしたり、反応がなければ改めて確認する必要があったりと、少し手間がかかってしまいます。一方でWorkplaceの場合は、投稿に対する「いいね!」を見れば、誰が見たのかが一目瞭然なんですね。
ルーティンワークの見直し
本当は非効率だとわかっているルーティンワークの思い切った見直しで、これまで10分かかっていた作業を30秒の短縮に成功しています。ルーティンワークを効率化し、生まれた時間で新たなチャレンジをするCRという制度です。
CRのポイントは、「個」の意識を上げることに着目している点です。「こうすればもっと効率化できそうだ」ということを、1人ひとりが普段の業務で意識できるよう、会社として評価する仕組みを構築していきました。
後回しになりがちな仕事にだけ集中する時間を設ける
仕事には重要性と緊急性があるのですが、だいたい先に取り組んでしまうのが緊急性のある仕事です。優先順位は次の通りです。
- 緊急で重要な仕事
- 緊急で重要でない仕事
- 緊急でなく重要な仕事
- 緊急でも重要でもない仕事
このうち3番目の緊急でなく重要な仕事に取り組む時間を、あえて作ることで生産性向上につなげるという取り組みです。
後回しにされがちな仕事を進めるために、金曜日は原則ノーアポ・ノーミーティング・ノー残業とする「クリエイティブフライデー」や、月・水・金は、それぞれ1時間、チャットや会話、電話や離席を禁止する「精神と時の部屋タイム」を設けた事例です。
第二領域の取り組みは、生産性向上に繋がってきます。重要な仕事でも、緊急ではない第二領域の時に手を打っておけば、仕組み化などで工数自体を圧縮できるので。
出典:https://seleck.cc/work_style_reform
働き方改革では企業が従業員の働き方を改革するだけではなくて従業員も仕事の質を上げるための改革をすることが大事です。そうすることで企業の業績も伸びて、それが給料にも反映されることになるでしょう。
引用:https://pixabay.com
ワークライフバランスの取り組みは政府主導?
日本政府が開始した「カエル!ジャパン キャンペーン」
日本でワークライフバランス憲章が打ち立てられたのは2007年です。今から10年以上も前だったというのは意外でしたね。そもそも出生率向上・男女均等政策・労働時間政策・非正規労働者政策の問題を抱える日本ですので、「仕事と生活の調和」であるワークライフバランスは必要不可欠な取り組みだったのです。
政府は国民運動としてワークライフバランス推進のための国民運動を「カエル!ジャパンキャンペーン」として開始したのですがどうやらあまり認知度は高くないようです。
「カエル!ジャパン」キャンペーンを通じて、企業、働く方、国・地方公共団体の各主体はもちろんのこと、広く国民の皆様の取組への気運を醸成し、仕事と生活の調和の実現した社会に向けて、その取組を加速してまいります。
出典:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/change_jpn/campaign.html
日本の労働環境は劣悪?
ILO(国際労働機関)では世界共通で定めた労働条件というものがあります。しかし日本では労働時間に関する条約をひとつとして守っておらず、さらにサービス残業させる企業が横行していることで欧米諸国に批判されています。
また休暇日も少なく有給休暇に関する条約も日本は守っていません。そのため政府は主導となって地方公共団体、経済界、労働界の合意を得てワークライフバランスを推進しているのです。
企業にとってのライフワークバランス
ワークライフバランスは企業にとって優良な会社であるというイメージを作るのに欠かせません。グローバル企業のトヨタなどはいち早くワークライフバランスを実現させ優秀な人材の確保に乗り出しています。
また従業員の生活満足度が上がることで仕事のモチベーションが高まり、優良企業に所属することの満足度も合わせて大きくしてくれるのです。結果的に離職率も下がり将来の人材不足対策となります。
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サラリーマンであれば、会社のルールに則るしかありませんので、いくら政府や欧米諸国がワークライフバランスの重要性を訴えたところで、その恩恵を得ることはできないかもしれません。
自分の所属する会社で実現できないのであれば、自分が変わっていくしかありません。それには、今の仕事を見つめ直す力と行動力が必要でしょうし、今の会社をたとえ辞めても大丈夫な別の収入源が必要です。
会社単位ではなく、自分自身のワークライフバランスを考えるなら、FX、株、ブログアフィリエイト、YouTubeなどの副業で収入増を考えてもよいのではないでしょうか。