ブラック企業とは?その特徴と見分け方、脱出方法を解説

入社するまではわからないことの多いブラック企業ですが、まだまだなくなるどころか増えていく可能性もあるのです。ブラックとまではいかなくてもグレーな企業もあるといいます。若者を使い捨てにするブラック企業とは、またその対応はどうすればいいのでしょう。

記事の目次

ブラック企業とは?定義を解説


ブラック企業とは


ブラック企業とはもともと暴力団などの反社会的団体とつながりのある会社をいっていましたが、バブル崩壊後は従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する会社をひっくるめて指すようになりました。

2008年に出版された『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かも知れない』で注目され世間一般的に知られるようになりました。また2013年には新語・流行語大賞を受賞ています。ブラック企業は大企業よりも、中小企業や零細企業に多いとされていますが、労働時間の長さに追い込まれ自殺者を出した企業など大企業でもブラック企業は少なくありません。


ブラック企業の定義


厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、①労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。

出典:http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q4.html

また次の要件2つ以上当てはまる企業をブラック企業といいます。

  • 企業(経営者)の責任を明示していない
  • 企業コンプライアンスが欠如した企業
  • 従業員の過労や病気などの訴訟と責任を免れる企業
  • 従業員・アルバイト・パートの待遇を軽視している企業
  • 消費者や地域への貢献度が低い企業
  • 悪徳商法をする企業

ブラック企業の解説


◆社員は消耗品

ブラック企業ではもともと社員を教育するという概念を持ちません。そのため長時間労働は当たり前で辞めていけば新しい人員を補充するだけと考えています。

◆パワハラは日常化

ブラック企業のやり方では社員の能力を伸ばすつもりがなく、同時に「できない人間」と思わせることでさらなる長時間労働を強いています。また言葉一つで追い込んで辞めさせることができるのです。

◆残業代は出ない

求人でよく「残業なし」という表記がありますが、正確には「残業代なし」と解釈しておいたほうがいいです。残業するのは従業員のサービスだと考えています。

ブラック企業がやっかいなのは、会社ぐるみで社風を作り上げていることです。そして「文句があれば、いつだって辞めればいい」と開き直りとも取れる企業体質です。表立っていないPTSD被害やうつの発症など数多くの被害者がいると考えられます。自分の勤めている会社がブラック企業だと気がついた時、すぐさま転職などの行動に出なくてはなりません。また円満退職を期待してはいけません。

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ブラック企業の特徴【社長から判断】

ブラック企業を入社前に見抜くことができたら、ムダな時間を過ごさなくてすみます。ブラック企業の社長や役員からその傾向がわかることがあるのではないでしょうか。ブラック企業の社長の特徴を見てみましょう。


ブラック企業の社長の特徴


  • 能力主義である

能力主義であるなら、頑張りを認めてもらえそうだと思ってしまいますが、社長の求める能力というのはとても高い水準であることが多いです。そのため、どれだけ頑張っても「役立たず」扱いされることがほとんどでしょう。

  • 会社の利益の前に自分の利益

ブラック企業の社長は自分の利益の確保に貪欲です。そのため持ち物や車にはお金を惜しみません。会社の設備よりも自分のステイタスを優先させています。社長室と従業員の更衣室をくらべてみましょう。明らかに社長室の方が豪華です。あまりにもその差が激しい場合はブラック企業と考えて間違いないでしょう。

  • 感情的である

従業員を叱る時に、感情的なおかつ威圧的なのがブラック企業の社長の大きな特徴です。これこそ最大のパワハラだといえるでしょう。また説教は長くネチネチとしています。基本的に自分の思い通りにならない従業員を認めませんので、常に説教をした時の従業員の態度を試しているようなところもあります。

  • プライバシーの侵害にあたる質問をする

面接などで明らかにプライバシーの侵害であるような質問をずけずけとしてくる社長には注意です。親しくなってもいないのに個人的な領域にまで踏み込んでくる人には基本的にコンプライアンスの欠如があると考えていいでしょう。

※コンプライアンスとは「法令等の遵守」であり、約束事や決まり事にたいしての誠意ともいわれています。


ブラック企業の社長を見極めるのは難しい


いかがでしょう。お勤めの会社の社長にあてはまるところはなかったでしょうか。社長というのは世襲したのではない限り、自分自身が労働時間を惜しまずに苦労をしてきた人が多いです。そのため、ブラック企業だと自覚がないことが多いです。そして従業員に最大のパフォーマンスをさせるのが給料を支払っている以上、当然だと考えています。

そう考えるとほとんどの会社はブラック企業であっても不思議ではないのです。ブラックの度合いにもよりますが、会社員である以上、ある程度は覚悟しておかなくてはならないでしょう。そのため転職したからと言ってホワイト企業に就職できることは稀だといえます。そして社長はしたたかですので、簡単にはブラック企業だとはわからないようにしています。

わたしの知り合いの会社の社長もまさにそのような人物でした。最初は物腰柔らかく、とても紳士的な人なのですが、とにかく社長のまわりには「イエスマン」しかいないような会社でいつも遅くまで電気が灯っていました。

社長は妻と豪華な旅行に行くのが恒例でしたが従業員は有休ももらえていない様子です。とにかく従業員は常に社長に気遣っている雰囲気だったのを思い出します。その社長の陰湿なやり口は社員の比較です。

比較してけなしたり、持ち上げたりするのが常套手段でした。そのことでマインドコントロールを受けているようで、その会社の従業員を気の毒に思ったものでしたが、幸いにもその会社は大企業に買収されたので従業員は無事に今も働いているようです。

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ブラック企業の特徴【面接で判断】

ブラック企業の特徴として当然「離職率」が高いです。離職率とは就職し入社した後にその会社を辞める割合です。離職率が高いほどブラック度が高いと考えてもいいでしょう。そのため面接にも特有の傾向があるのです。

  • 面接が短時間である

一般的に面接は1時間弱であることが多いのですがブラック企業の面接では30分以下ということも珍しくないようです。 人の入れ替えが早いため、面接は形式化されており、すでに入社が決まっているようなものなのです。

  • 面接の結果が早い

面接の結果が早いのも入社する人を吟味する必要がないブラック企業の特徴です。従業員は消耗品であるため誰でもいいと考えているのです。そのため入社の返事を急かされるようなこともあります。

  • 雑談が多い

面接であるにもかかわらず会社や仕事の話ではない雑談が多い場合も要注意です。面接官自体に仕事に対する真剣さが感じられないような印象を受けるなど、会社の体質に問題がある場合が多いです。また社長が直接一次面接をする場合にもブラック企業を疑った方がいいかも知れません。

  • 社内の様子がだらしない・張り紙がある

面接に行ったら社内の様子もよく見ておきましょう。裏口が雑然としていたり、トイレが汚かったりすることは問題ありだと思っていいでしょう。また体育会系の張り紙がある会社はブラック企業体質です。「気合を入れろ」「根性」などという言葉が書かれてあれば99%はブラック企業です。

  • 社員の様子

社員の様子もブラック企業を見分ける参考になります。いきいきとした雰囲気はあるか、笑顔や活発さがあるかは大事なチェックポイントです。社員にやる気がなかったり、雰囲気がどんよりとしていたりすれば、何らかの問題を抱えている会社だといえるでしょう。

  • 面接日以外もチェック

面接日以外にも会社を外から観察してみましょう。昼休みに食事に出る人たちは楽しそうにしているか、また夜は何時ごろに帰宅しているのか(消灯時間)を確かめてみるのもその会社のブラック度合いを判定できるでしょう。

早く就職先を決めたくて焦る気持ちになってしまいがちですが、ブラック企業に入ってしまっては元も子もありません。働く側も会社を面接するくらいの気持ちで臨みましょう。

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ブラック企業の見分け方【求人票から読み解く】

ブラック企業を指導する行政の働きが盛んになる一方でブラック企業は増え続けています。中でも問題なのは求人票に書いてある内容と実際の待遇がまったく違うということです。

ハローワークでは多くの苦情が寄せられており、どこまでいってもイタチごっこは終わりません。そして求人票の4割が嘘であることも指摘されているのです。わたしたちがブラック企業に就職してしまわないためにどんなことに気をつければいいのでしょうか。

  • 魅力的な求人票には注意

ブラック企業の特徴として常に人を募集しているので求人票の書き方がとても巧みです。魅力的な仕事だと感じさせるようにうまく書かれています。反対にホワイト企業は離職率が低いので求人票はどちらかといえばシンプルなものであることが多いです。

求人票をくらべる時にあまり訴求力の高すぎる企業だけを選ばないようにすることが大事です。仕事の内容欄に「誰でもできる簡単な仕事」や「50人募集」などとアピールしている会社は人手が足りていないことが考えられます。そして気になる企業があればその会社のホームページもかならずチェックするようにしてください。

  • 給与の幅が大きい場合は歩合給のことも

ブラック企業では基本給を安く設定し、営業ノルマによる歩合給が定められているケースがあります。【月給20万円~45万円】や【年収例1200万円】などという表示には注意が必要です。

【給与20万円・残業手当含む・1ヶ月残業時間40時間】といった場合には毎日2時間の残業が決められているということです。このように明記されている場合はまだましな方で、残業時間が「あまりありません」などとはっきり書かれていない求人ではさらに長い残業を強いられることが考えられます。

  • 仕事内容がはっきりと書かれているか

最も大事な仕事の内容ですが、ハローワークに寄せられる求人票と実際の勤務の違いによる苦情が多く寄せられています。【営業補助】とあったのに訪問販売がメインの仕事である場合もあったのです。

仕事の内容をきちんと確認しておかないと、いろいろな業務を押し付けられてしまうということもありますので、しっかりと確認するようにしてください。

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ブラック企業の相談窓口と脱出方法

自分の勤めている会社に疑問を持った時、決して問題をうやむやにするのはよくありません。特に一人で悩んでいる場合は様々な相談機関がありますのでまずは電話をしてみましょう。

  • 厚生労働省総合労働相談コーナー

各都道府県にある労働局の労働に関する問題の相談窓口です。あらゆる労働に関する相談を専門の相談員が受け付けています。利用料は無料です。相談者のプライバシー保護にもじゅうぶんに配慮してくれていますので安心して助言を受けるといいでしょう。

労働相談コーナーでは裁判となった事例なども紹介してくれますので、未払い給与などの解決していない問題も持ち込むことができます。

  • 労働基準監督署

労働基準監督署は労働に関することについての警察の役割を果たす行政機関です。しかし給与未払いなどの明らかな労働基準法違反についてしか動いてくれませんので、パワハラや不当解雇についての相談には適していません。

  • 弁護士

会社に受けた被害を損害賠償という形で取り戻すには弁護士に相談するのがもっともスピーディに解決できます。弁護士にもいろいろありますので「ブラック企業被害対策弁護団」や「過労死弁護団」などに相談するのがいいでしょう。費用も比較的安く設定されています。


ブラック企業からの脱出方法


ブラック企業から脱出するには味方を作ることです。精神的にもつらい戦いになる場合もありますので、一人で悩むのはやめてください。味方とは転職エージェントでもいいですし、退職代行会社に依頼するのもいいでしょう。

損害賠償請求されたり、転職の妨害をしたりしてくるような悪質なブラック企業なら最初から退職代行のようなプロに依頼するのがいいかも知れません。

大事なことはバッサリと辞めることです。よくしてくれた先輩や同僚のことは一旦忘れて辞めることだけを考えてください。強い決意がブラック企業からの脱出のポイントなのです。引継ぎだとか円満退職などは脱出の妨げとなります。

そしてブラック企業からの脱出を成功させて、一刻も早く人生を取り戻しましょう。

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ブラック企業から脱出できない要因の一つに、「ここを辞めたら次が・・・」と悩んでしまう部分があります。

そうならないためにも、副業などで別の収入源を確保しておければベストでしょう。