問い合わせ履歴をAIで整理する方法|質問の分類からFAQを作る実例

問い合わせのカードをFAQへ整理するイメージ

こんにちは。バナナデスクです。

何度も同じ質問に答えているのに、FAQを作ろうとすると手が止まる。メールを開けば質問はたくさんあるのですが、「料金」「日程」「サービス内容」が一通に混ざっていて、どれが多いのかすぐには分からないんですね。

ここでAIに「問い合わせをまとめて」とだけ頼むと、読みやすい要約はできます。ただ、20通を20個の質問として扱ったり、似ている質問を同じ答えで片づけたりすると、公開してよいFAQにはなりません。

この記事では、完全に架空の問い合わせ20件を使い、質問への分割、分類、集計、回答資料との照合を経て、FAQを3本作ります。AIが作った分類を、人がどこで直すかも示します。顧客の原文を公開した事例や、特定製品の精度測定ではありません。

「問い合わせの件数」と「質問の数」を分ける

一通に「料金はいくらですか。何をしてもらえますか」とあれば、問い合わせは1件、質問は2つです。FAQを作るときは、メールの通数より、どの疑問が繰り返されているかを見たいはずです。

そこで、元の問い合わせ番号を残したまま、一つの質問を一行にします。たとえば2番のメールなら、Q02-1「料金」とQ02-2「提供範囲」に分けます。番号をなくすと、AIの要約が原文のどこから来たのか分からなくなります。

さらに、質問が多いことと、答えが確定していることは別です。「キャンセルできますか」が何件あっても、運営側に承認済みの条件がなければ、AIがFAQの回答を決めてはいけません。

20通を24質問に分け、確定資料と照合してFAQ3本を作る流れ
架空例。一通に複数の質問があるため分割後は24問。FAQの答えは問い合わせから推測せず、確定資料に基づきます。

20件の問い合わせを、24の質問として整理する例

例は、講座構成を相談する架空のサービスです。個人名、連絡先、実際の契約情報を含めず、問い合わせ文自体を説明用に作っています。分類名は、このサービスで返信を探しやすい単位に決めたものです。

架空の問い合わせ20件と分類の完成見本
ID 問い合わせ文 分割後の分類
01 1回の相談はいくらですか。 料金
02 料金と、対応してもらえる範囲を教えてください。 料金/提供範囲
03 来週の水曜日に相談できますか。 日程
04 平日の夜も予約できますか。 日程
05 まだ講座を開いたことがなくても相談できますか。 対象者
06 初めてでも大丈夫ですか。事前資料は何が必要ですか。 対象者/準備物
07 完成したスライドを用意しないと受けられませんか。 準備物
08 スライドのデザインまでお願いできますか。 提供範囲
09 動画の編集も含まれていますか。 提供範囲
10 予約後にキャンセルする場合の条件は何ですか。 キャンセル
11 体調不良のときは日程変更できますか。 キャンセル・変更
12 スマホだけで相談に参加できますか。 参加環境
13 音声がつながらない場合はどうすればよいですか。 参加環境
14 表示料金は税込ですか。 料金
15 土曜日は空いていますか。何を送っておけばよいですか。 日程/準備物
16 販売ページも作ってもらえますか。 提供範囲
17 相談すると資格は取れますか。 対象外の目的
18 あれはどうなっていますか。 意味の確認が必要
19 領収書は発行できますか。 事務手続き
20 料金と支払方法を教えてください。 料金/事務手続き

02、06、15、20は、それぞれ質問が2つあります。したがって、20件+追加4問=24問です。ここをAI任せにせず、元の件数と分割後の件数を合わせます。

分類は最初から細かくしすぎないでください。料金を税込、分割、割引などへすぐ分けると、一件ずつの箱が増え、よくある質問が見えにくくなります。ただし、回答条件が違うものまで同じ答えにまとめる必要はありません。大分類で頻度を見て、FAQを書く段階で条件を分けます。

AIには、分割と分類を先に依頼する

分類と回答作成を同時に依頼すると、回答しやすい形へ質問の意味を変えてしまうことがあります。まず、質問を落とさず整理する作業だけに絞ります。

目的:問い合わせからFAQの候補を選ぶために、質問を整理する。
この段階では回答文を作らない。

入力:番号付きの問い合わせ20件。
作業:
・一通に複数の質問があれば、一つずつ分ける。
・元IDを残し、分割した場合は「02-1」のように枝番を付ける。
・原文の短い抜粋と、質問の要旨を別の列にする。
・下記の分類を使い、無理に当てはまらなければ確認必要とする。
・要望、質問、意味不明のものを区別する。
・最後に元の通数、分割後の質問数、分類別の数を出す。

分類:
料金/提供範囲/日程/対象者/準備物/
キャンセル・変更/参加環境/事務手続き/
対象外の目的/意味の確認が必要

出力列:
元ID、枝番、原文抜粋、質問の要旨、分類、分類の理由。
相手の名前や連絡先は出力しない。
根拠のない回答やサービス条件は追加しない。

今回の指示は完成見本です。特定のAIで必ず同じ結果になるという意味ではありません。実務で使う際は、分類の定義も一緒に保存すると、次回の集計で別の名前へ揺れにくくなります。

たとえば「日程」は空き枠と開催時間の質問、「キャンセル・変更」は予約後の取り扱いと定義します。11番を日程にも入れるかで件数が変わるため、一つの集計では同じ基準を使ってください。

集計表の数字より先に、分類の中身を点検する

24問の集計結果。架空20件の問い合わせを質問単位で数えた例
分類 質問数 元のID
料金 4 01、02、14、20
提供範囲 4 02、08、09、16
日程 3 03、04、15
準備物 3 06、07、15
対象者 2 05、06
キャンセル・変更 2 10、11
参加環境 2 12、13
事務手続き 2 19、20
対象外の目的 1 17
意味の確認が必要 1 18
合計 24 元の問い合わせは20件

料金の4問を、20件に対して20%と表すなら「料金の質問を含む問い合わせは4件/20件」です。24問に対して約16.7%と表すなら「分割後の質問のうち料金は4問/24問」です。分母が違う数字を、どちらも同じ問い合わせ比率として並べないようにします。

また、17番の「資格は取れますか」は、初心者かどうかを聞く5番とは違います。18番の「あれ」は内容が不明です。AIが勝手に「予約はどうなっていますか」と補った場合は、質問の分類以前に、原文にない情報を足した誤りです。

よくある誤分類を一つ直したら、同じ基準でほかの行も見直します。特に、複数質問の後半、短い言い回し、例外の問い合わせを確認しましょう。件数の合計だけが正しくても、内容が入れ替わっていればFAQの優先順位は変わります。

FAQの回答は、問い合わせから作らない

問い合わせは「何に答えるか」を決める材料です。「どう答えるか」は、承認済みの提供条件から作ります。この二つを分けると、顧客の希望が勝手にサービスの約束になることを防げます。

FAQを作るための架空の回答資料
項目 確定している条件 まだ確定していないもの
料金 1回60分33,000円(税込) 割引、分割、追加依頼の料金
内容 聞き取りと講座構成案の整理 スライド制作等は提供しない
日程 希望日時を受け取り、空きを確認して返信 現在の空き枠、予約確定前の日程
準備物 相談したいことと、あれば既存の構成メモ 完成スライドは必須ではない

この資料には、キャンセル条件、参加環境、領収書の扱いがありません。質問があるからといって「前日まで無料」「スマホ対応」「必ず発行」などを補いません。運営側で条件を確認してから別途整えます。

最初のFAQは、頻度だけでなく、回答が確定していて、利用前の判断に役立つものを選びます。この例では料金、提供範囲、日程の3本です。準備物も3問ありますが、まず予約を検討できる説明を揃える順番にしました。これは運営上の判断で、頻度の高いものを機械的に採用した結果ではありません。

公開できる形まで整えたFAQ3本

Q.相談の料金はいくらですか?

A.1回60分、33,000円(税込)です。現在の状況を伺い、講座の構成案を一緒に整理する相談の料金です。スライド制作、動画編集、販売代行は含みません。複数回の利用や個別のご要望については、基本料金だけで対応できると決めず、内容を確認します。

Q.資料や動画も作ってもらえますか?

A.このサービスは、講座の対象者と内容を整理する相談です。スライドのデザイン、動画編集、販売ページの制作は提供していません。資料を完成させる前に、構成を相談したい方を対象としています。制作まで一括で依頼したい場合は、提供範囲が異なります。

Q.希望する日時で予約できますか?

A.希望日時を伺い、空き状況を確認してからご案内します。希望日時を送った時点では、予約は確定しません。可能であれば複数の候補日時をお知らせください。現在の空き枠は変わるため、このFAQだけで特定の日程を確約することはできません。

以上は、先ほどの架空の条件に沿って編集した完成見本です。公開先に使う場合は、実際の提供条件に置き換える必要があります。質問を短くしながらも、答えには対象と例外を残している点を参考にしてください。

AIへ回答作成を依頼するときも、この完成形を丸暗記させるのではなく、質問と対応資料を指定します。「料金FAQは料金表と提供範囲だけから書く。資料にない条件は別欄へ出す」と伝えれば、確認する場所が明確になります。

実務では、入力前の確認と更新日を残す

顧客メールをAIに入れる前に、契約、社内ルール、利用サービスのデータの扱いを確認します。個人情報保護委員会も、生成AIへの個人情報の入力について注意喚起しています。氏名を消すだけで個別の入力が適切になるとは限りません。個人情報保護委員会の注意喚起。

試作では、このような架空メールを使い、質問の整理と回答作成の流れを先に確かめる方法があります。実データを扱う際は、公開用のFAQに顧客の原文や固有事情を残さないことも確認してください。

公開後に残す記録は、FAQ本文、対応する提供条件、確認日、更新理由です。料金が変わったら料金ページだけでなくFAQも直す必要があります。更新対象を探せるように、どの資料をもとにした回答かを保存しておきます。

効果を見るときは、「FAQを出したら質問が減った」と早く結論づけず、同じ期間の問い合わせ総数と対象質問の件数を比べます。申込数や問い合わせ自体が減ったなら、対象質問だけが減っても改善とは限りません。説明を読んで判断できたかは、質問の内容も見て確かめます。

まずは20件を全部自動化することより、一通から質問を漏らさず取り出せるかを見てください。分類の根拠と回答の根拠を分けて残せれば、FAQは「よくありそうな質問集」から、自分の仕事で繰り返される疑問へ答えるページに変わっていきます。