AIで作ったペルソナを点検する方法|相談メモと照合して補いすぎを直す

5つの吹き出しと、記録と未確認を分けたノートの紙模型

こんにちは。バナナデスクです。

相談メモには「まとまった2時間は取りにくい」とあるのに、AIがまとめた読者像では「毎日15分なら作業できる」になっている。こんな違いに気づいたら、その人物像を使う前に一度立ち止まります。短い時間を希望していることと、毎日15分を確保できることは、同じではないからです。

AIでペルソナを作るときは、出来上がった文章の自然さだけでなく、一つひとつの特徴が、どの原文から言えるのかを確かめます。根拠がなければ削る。原文より広げていたら狭める。役立ちそうでも未確認なら、質問として残します。

ここでは5件の架空相談メモを使い、補いすぎた人物像の案を点検し、採用できる修正版まで作ります。初稿も修正版も、この記事のためにAIで制作した教材例です。特定のモデルが実際に返した誤回答の転載や、実顧客を調査した結果ではありません。

人物像の一文を、点検できる主張へ分ける

「副業中の30代会社員で、短時間に安く学びたい人」という一文には、職業、年齢、作業時間、価格の好みという別々の主張が入っています。全部を一度に「合っている」と判定せず、それぞれの根拠を探します。

また、一人が話した条件を全員の特徴に変えないようにします。複数の相談をまとめたペルソナは、実在する一人のプロフィールではなく、用途に合わせた合成仮説です。元の発言と編集上の解釈を分けておくと、修正する場所も見つけられます。

2時間取れないという原文、短い作業がよさそうという解釈、何分ならできるかという確認質問を分けた例
架空相談メモの教材例。実際の顧客の発言や属性を示す図ではありません。

5件の架空相談メモから始める

出典ID 架空の相談メモ
C1 紹介文を書きたいが、サービスが三つあり、どれから説明すればよいか分からない。
C2 本業の後に作業する。まとまった2時間は取りにくいので、短い作業に分けたい。
C3 文章の例がほしい。ただ、そのまま写すと自分のサービスに合わない。
C4 料金を先に見せるか、内容を先に説明するか迷っている。
C5 以前作った文章はある。全部捨てるより、どこを直すか教えてほしい。

この5件には、年収、年齢、家族構成は書かれていません。また、C2の時間の制約を他の4人にも当てはめる根拠はありません。複数のメモを一人へまとめるときほど、誰の発言から来た情報かを残します。

補いすぎた案を、原文IDで点検する

次の文章は、誤りを探すために意図的な補完を入れた教材用の初稿です。この内容を事実として採用することはできません。

読者は30代の会社員で、副業として三つのサービスを提供している。全員が本業後に毎日15分なら文章を直せる。テンプレートを嫌い、料金の安さを最優先する。以前の紹介文は反応が悪かったため、全体をゼロから書き直したい。

一見すると、一人の具体的な人物を想像できます。しかし、その人物の条件の多くは元のメモにありません。文を分け、対応するIDを付けると、次のように判断できます。

初稿の主張 原文へ戻ると 採否 修正して残す内容
30代の会社員で副業中 C2には「本業の後」とある。年齢、職業、副業かどうかは記載なし 属性は削除 C2の作業時間に関する発言だけを残す
読者は三つのサービスを提供 三つと書いたのはC1だけ。他の4件のサービス数は不明 範囲を狭める C1では、三つのサービスの説明順に迷っている
全員が毎日15分なら作業できる C2は短く分けたいという希望。15分、毎日、全員という条件はない 条件は確認待ち 短い作業単位が役立つか、確保できる時間と一緒に確かめる
テンプレートを嫌っている C3は例がほしいが、丸写しでは合わないと述べる 原文に合わせて修正 例のどこを自分の条件へ置き換えるか、説明が必要かもしれない
安さを最優先する C4は料金と内容を説明する順序に迷っている。買い手の価格選好ではない 削除 料金と内容のどちらを先に説明するかが未決定
以前の紹介文は反応が悪かった C5にあるのは既存文と改善の希望。アクセスや反応の記録はない 成果の推測は削除 既存文のどこを直すか知りたい
全体をゼロから書き直したい C5は「全部捨てるより」と書いている 原文と逆なので修正 C5では、既存文を残しながら直す箇所を知りたい

ここで「根拠なし」とした年齢や職業が、実際には違うと証明されたわけではありません。この資料からは採用できないという判断です。用途に必要なら別途質問できますが、人物像の空欄を埋めるためだけに調べる必要はありません。

C3の扱いにはもう一段の区別があります。「丸写しは合わない」はメモの記載事項。「置き換え方の説明が役立つかもしれない」は編集上の解釈です。後者を採用候補にする場合も、本人がそう言ったという記録には変えません。

AIにも、書き直す前に採否表を依頼する

次の指示に、出典ID付きの相談メモと点検したい初稿を続けて渡します。今回なら、上のC1〜C5と教材用の初稿が照合対象です。

以下の相談メモC1〜C5と、ペルソナの初稿を照合してください。
初稿を一つずつの主張に分け、「主張/対応するC IDと原文/採否と理由/修正案」の表にします。
原文にない属性・時間・動機・成果は、根拠なしと示してください。事実と異なると断定する必要はありません。
一人の発言を全員の特徴へ広げていないか、原文と逆の希望に変えていないかも点検します。
採用・範囲を狭めて採用・削除・確認待ちを分け、推測は解釈と明記してください。
その後、採用する内容だけで修正版を作り、文の近くにC IDを残します。
複数のメモをまとめた部分は合成仮説とし、未確認の質問を別に出してください。

Googleのプロンプト設計資料は、指示と制約を具体化する方法を説明しています。ただし、指示を工夫しても、実際の顧客を調査した代わりにはなりません。AIが文章を作ったことと、顧客の特徴を確認したことは別です。

採用する修正版にも、根拠と仮説を残す

採否表を踏まえ、今回の読者像は次の形で残します。読みやすい人物像へまとめる場合でも、発言が当てはまる範囲は広げません。

サービス紹介文を作成・修正する人を想定した合成仮説
説明の順序や、すでにある文章の直し方に迷う人を想定する。材料には、三つのサービスの説明順に迷うメモ(C1)、料金と内容の順に迷うメモ(C4)、既存文をすべて捨てずに改善したいメモ(C5)がある。同じ一人がこの三つすべてを経験したとは扱わない。

例文に加えて、自分のサービスへ置き換える考え方や、部分的な修正見本が役立つ可能性がある(C3・C5からの編集上の解釈)。

短く分けた作業が役立つかは、C2の希望を起点に確かめる。一回何分か、毎日できるか、他の相談者にも当てはまるかは未確認。年齢・職業・価格の好み・過去の反応は、この資料からは設定しない。

初稿から消えたのは、確認していない年齢などの属性だけではありません。「全員」「毎日15分」「反応が悪い」「全部書き直す」という、提案の内容を変えてしまう条件も外しました。一方、説明順、例の置き換え、部分修正という手がかりは残しています。点検後も、原文から言える範囲は具体的に示せます。

AIの修正版を受け取った後は、この表と元のC1〜C5を横に置きます。C IDが書かれていても、その原文が主張を支えているとは限りません。例えば「安さを優先(C4)」という引用の形なら、料金の説明順を価格の好みに変えているので採用しません。番号の有無ではなく、その番号から言えることを確認してください。

確認待ちの条件を、次の質問へ変える

未確認を残したら、次に何を聞けば直せるかも書きます。今回なら、以下の3問が修正版の確認待ちに対応します。

  • C2の時間:最近、紹介文の作業ができた日は、一回にどのくらい取り組めましたか。途中で止めたのはどの作業でしたか。
  • C3の置き換え:例を見て自分のサービスへ当てはめたとき、どの部分で止まりましたか。実際の文を一つ示せますか。
  • C5の部分修正:今の紹介文で残したい部分と、どう直すか判断できない部分を一つずつ教えてください。

「15分ならできますよね」と答えを先に置かず、行った作業と止まった箇所を聞きます。他の相談者にも同じ条件が当てはまるかは、別に確かめます。回答が来たら元のC2を消さず、新しい記録の日付とIDを付け、修正版のどの条件を更新したか残してください。

まず手元のAI案から、年齢、時間、好み、成果のどれかを含む一文を選んでみてください。対応する原文を開き、採用・修正・削除・確認待ちを決めます。その理由を説明できる形まで戻せれば、人物像を文章や商品へ使う前の土台が整います。