商品名・サービス名の決め方|内容が伝わる名前を候補比較で選ぶ

文字のない商品名タグと説明カードを組み合わせる紙の模型

こんにちは。バナナデスクです。

名前を見た時はかっこいい。でも「何のサービスですか」と聞かれるたびに、最初から説明している。商品名を考える時は、この状態を一度想像すると、候補の見方が変わります。

たとえば「ビジネス・アクセル」だけでは、広告支援なのか、経営相談なのか、講座なのか分かりません。「サービス案内文を一枚にまとめる90分講座」と添えると、少なくとも受け取る内容が見えます。名前だけで全部を説明する必要はありませんが、説明と矛盾しないことは必要です。

今回は架空の小さなオンライン講座を題材に、12案を3案へ絞り、最後に一つを仮選定します。実際の商標利用や販売を勧める名前ではなく、比較の進め方を示す例です。

名前より先に、商品の中身を一文で固定する

今回の講座の提供条件は次のとおりです。途中で名前に合わせて中身を変えないよう、比較中はこの条件を揃えます。

項目 架空講座の条件
受講者 個人で相談サービスを提供し、説明文はあるが対応範囲が曖昧な人
受講前に必要なもの 現在のサービス説明文と、料金・納品内容のメモ
行うこと 90分のオンライン演習で、含む作業・対象外・変更時の対応を整理する
持ち帰るもの 自分で記入したサービス案内文の下書き1枚
含まないこと 契約書作成、法律上の適否の判断、集客や売上の保証

この条件から、商品の説明を「今ある相談サービスの範囲を整理し、案内文の下書きを一枚作る90分の演習講座」と置きます。「売れる商品をゼロから作る講座」ではありません。後者を連想させる名前なら、候補から外す理由になります。

内容と矛盾する候補を先に除き、名前と一行説明を組み合わせる図
候補の好みと、提供条件との一致・使用条件の確認は分ける。

方向を変えて12案を出す

最初から一つの言い回しに集中せず、内容、完成物、作業、比喩の方向から候補を出します。以下はすべて説明用の仮案で、実在名との重複や権利関係を確認したものではありません。

候補 伝わる点 気になる点
1. サービス案内文づくり講座 何を作るかが分かる ゼロからの文章講座にも見える
2. 対応範囲を整える90分 扱う課題と時間が分かる 成果物を補う必要がある
3. 一枚で伝えるサービス設計 完成物の形を想像しやすい 商品全体の設計まで含む印象
4. 相談サービス案内室 相談業向けの柔らかさがある 相談窓口そのものに見える
5. サービス範囲の整理ワーク 演習であることが分かる 対象業種の補足が必要
6. 案内文の下書き教室 完成を保証しすぎない 文章表現だけの授業にも見える
7. おしごと輪郭ラボ 範囲を比喩で表せる 初見では内容が分かりにくい
8. サービス・スケッチ 下書きの印象がある デザイン制作との混同が残る
9. ビジネス・アクセル 短く呼びやすい 加速する対象も提供物も不明
10. 90分で売れるサービスへ 便益は強く見える 売上を約束する内容は提供していない
11. 相談業の契約トラブル解決講座 悩みが具体的 法律相談や既存紛争の解決は範囲外
12. サービス案内文の整理演習 既存文の整理と演習が伝わる 何を整理するかを説明で補う

10や11は、目立ちそうだから残す候補にはしません。提供範囲と異なる約束を含むからです。一方、7や8のような比喩的な名前は、それだけで悪いわけではありません。名前を単独で見る人が多い場面では説明負担が増える、という判断になります。

3案には、一行説明を添えて比べる

候補 一行説明 今回の判断
A:対応範囲を整える90分 相談サービスの「含む・含まない」を整理し、案内文の下書きを作るオンライン演習。 課題から選ぶ人に伝えやすい。名称に時間を固定するため、形式変更時は見直す
B:サービス範囲の整理ワーク 今の説明文を持ち込み、90分で対応範囲を一枚にまとめる相談業向け講座。 作業は具体的。案内文を作ることを本文で明示する
C:サービス案内文の整理演習 含む作業・対象外・変更時の対応を整理し、自分の案内文の下書きを作る90分講座。 対象物と形式が一致するため、今回の仮採用候補

私はこの条件ならCを出発点にします。短さだけではAですが、講座の入口になる記事が「案内文の書き方」を扱っている場合、記事で読んだ内容と名前のつながりを保ちやすいからです。これは編集上の判断であり、読者調査でCが勝ったという結果ではありません。

名前の評価を合計点だけで決めると、重大な誤解が「呼びやすさの高得点」で相殺されます。まず誤った約束を除き、その後で読みやすさ、覚えやすさ、表記の揃えやすさを比べる順が使いやすいでしょう。

読者には「好きか」より、何だと思ったかを聞く

候補を見せる時は、先に正解を説明しません。名前と一行説明だけを見てもらい、「誰向けですか」「何をする時間ですか」「何を持ち帰れそうですか」を自分の言葉で答えてもらいます。続けて「分からなかった言葉」を聞きます。

たとえば「契約書を作ってもらえると思った」という回答が出たら、気に入ったかどうかより先に誤解の原因を直します。この回答は想定例で、今回実際に人へ聞いた結果ではありません。少人数の確認でも誤解を見つける手掛かりにはなりますが、購入率の予測には置き換えないでください。

候補が固まったら、一般の検索で同名のサービスや強く混同しそうな表記を調べ、検索日・語・見つかった名称を記録します。ドメインやSNS名が取得できることも、商標を使える保証ではありません。

INPITの商標検索に関するQ&Aでは、文字だけでなく読み方や商品・役務の条件を使う検索例が説明されています。また、類似検索に出た結果だけで類否が確定するわけではないことも示されています。検索の有無と法的な判断を混ぜず、判断に迷う候補は知財の専門家へ確認します。

この例のCも、説明との一致を理由にした仮選定までです。公表前の確認が終わっていない名前を「使用可能」とは記録しません。名前を決める作業は、案を出して終わりではなく、読者への伝わり方と使用条件を確かめるところまで含めて進めましょう。