オンライン講座の需要調査|作る前に「悩み・申込意向・購入」を分けて確かめる

講座の制作前に質問メモと試作品を確認する紙の模型

こんにちは。バナナデスクです。

オンライン講座を作ろうと思ったとき、最初に知りたいのは「このテーマを学びたい人はいるのか」ですよね。ところが、知人に内容を見せて「いいと思う」と言ってもらっても、録画を始めてよいのかは、まだ判断しにくいものです。

例えば、請求書の作り方に困っている人がいても、その人が欲しいのは講座ではなく、今月の請求書を一度だけ直してもらうサービスかもしれません。悩みがあることと、講座を受講したいことは別なのです。

私なら、動画を何本作るかを決める前に、誰の、どの場面を、何ができる状態へ変える講座なのかを一枚にします。そのうえで、悩みの存在、条件を見た申込意向、実際の参加や購入を分けて確かめます。ここでは、個人で小さな講座を企画する場合を例に、その調べ方と記録の完成見本を紹介します。

需要調査で確かめるのは、テーマの人気だけではない

需要調査は「売れそう」という感触を集めるためではなく、制作前の不明点を減らすために行います。特に初めての講座では、次の三つを別々に記録すると、先走った判断を防ぎやすくなります。

講座の需要確認で分けて残す三つの記録
確かめること 手がかり それだけでは分からないこと
解決したい悩みがあるか 直近の困った場面、現在の対処、かけている手間 講座という形式を選ぶか
提示した条件で参加したいか 対象・内容・日時・費用を見た後の質問や申込意向 実際に参加・購入するか
実際に利用・購入されるか 受付記録、参加記録、支払記録、課題の実施 別の価格や集客経路でも売れるか

「興味がある」という返答を、購入人数に換算してはいけません。UX調査を行うNielsen Norman Groupも、インタビューは経験や考えを知る方法であり、将来の購入・利用行動を質問だけで確実に予測できるわけではないと説明しています。出典:Why User Interviews Fail

逆に、購入が一件あれば需要調査が終わるわけでもありません。知人が応援のために買ったのか、内容が必要で買ったのか。特別価格だったのか、通常価格でも検討するのか。売れた条件も一緒に残して、広げてよい結論の範囲を見極めます。

悩みの存在、条件の検討、実際の参加や購入を別々に記録する図
発言、申込意向、実際の行動は別の記録です。一段階の結果だけで次を証明したことにはしません。

最初に講座案を一枚にする

以下は説明用の架空例です。実在する募集や実測データではありません。題材は「小さなオンライン教室を運営する人が、申込者に送る案内文を作る講座」とします。

制作前の講座仮説シート・記入例
項目 今回の仮説
対象 オンライン教室を初めて開催し、申込後の案内を手作業で送る個人事業主
困る場面 参加URL、準備物、日程変更の連絡先を別々に送り、確認の往復が発生する
受講後の完成物 自分の教室に使う参加案内メール一通と、送信前の確認表
試す提供内容 60分のオンライン実習。記入例を見た後、自分の案内文を作り、抜けを点検する
扱わないこと 教室への集客、決済代行、配信システムの設定代行、売上の保証
いちばん不明な点 テンプレートを読むだけでは足りず、実習まで必要とされるか

ここでの要点は、「オンライン教室の運営を学べる」と広く約束しないことです。案内メールが一通できる、という完成物なら、必要としている人を探しやすくなり、試作も小さくできます。

また、最初から価格だけを質問しないようにします。何を、どこまで、どの形式で受け取れるかが曖昧なままでは、回答者それぞれが違う講座を想像してしまうからです。内容を確定するための質問と、条件を示して意向を聞く質問は、順番を分けます。

検索では、競合講座だけでなく現在の解決方法を探す

検索する言葉は、講座名だけに絞りません。今回なら「オンライン教室 参加案内 メール」「Zoom講座 準備物 連絡」「申込後 メール テンプレート」など、困っている場面の言葉も使います。これらは調査用の例であり、検索量が確認されたキーワードという意味ではありません。

検索結果から読むのは、講座、代行サービス、無料記事、ツールのヘルプなどです。読者にとっては、無料の見本で解決することも、誰かに任せることも選択肢になります。講座同士だけを比べると、その選択肢を見落とします。

記録は「何が売られていたか」より、「どこまで解決できそうか」に寄せます。例えば、無料テンプレートには基本の挨拶と参加URLがあるが、録画の有無や欠席時の扱いは自分で決める必要がある。そこで迷う人が実際にいるなら、説明を足す余地がある、と仮説を置けます。

ただし、検索で見つからないことは、競合がいない証拠にも、需要がない証拠にもなりません。名称が違う、紹介で売られている、自分の探し方が狭い可能性もあります。URL、確認日、表示された対象・内容・料金を残し、販売数など見えない項目は「不明」にしておきます。

顧客インタビューは、直近の一場面から聞く

相手は「副業に興味がある人」ではなく、今回の案内メールを作ったことがある人、近く作る予定がある人から探します。知人に聞く場合も、対象条件に合うかを確認します。協力してもらえた理由と、サービスが必要な理由は同じではありません。

質問の前に、目的、所要時間、記録の扱い、答えなくてよいことを伝えます。録音や第三者への共有をする場合は、その点を先に確認します。相談の途中から突然営業に切り替えると、調査への協力と購入判断が混ざってしまいます。

回答を決めつけない質問への書き換え
避けたい聞き方 今回の質問例
案内メール作りは大変ですよね? 直近の教室では、申込後にどのような案内を送りましたか?
テンプレートがあれば助かりますか? その文章を作るとき、何を見たり、誰に確認したりしましたか?
これで作業が速くなりそうですか? この見本を使うとしたら、今の作り方のどこが変わりそうですか?変わらない部分はありますか?
この講座を買いますか? この内容と日時・費用を見て、判断に足りない情報はありますか?

Nielsen Norman Groupは、質問文に望ましい答えや感情を含めると、回答を誘導するおそれがあると説明しています。相手が困っていると決めつけず、楽だったことも難しかったことも話せる聞き方にします。出典:Avoid Leading Questions to Get Better Insights from Participants

次のやり取りも架空例です。「何通か送りました」という返答があったら、「何通も送るのは面倒ですよね」ではなく、「どのような内容を分けて送りましたか」と聞きます。「最初にURL、その後で準備物です」と答えたら、「分けた理由は何でしたか」と続けます。後から準備物が決まったのであれば、文章テンプレートだけでは解決しないかもしれません。

記録には、発言と自分の解釈を別欄で残します。「準備物が前日に決まった」が発言。「開催内容を確定する確認表が必要かもしれない」が解釈です。この二つを混ぜないだけでも、都合のよい答えだけを拾いにくくなります。

試作品は、一つの完成物まで実際に使ってもらう

話を聞いて残った疑問が「説明を読めば一人で作れるのか」であれば、長編講座を録画する前に、一枚の見本と記入欄を試します。実際に記入してもらい、どこで止まったか、何を追加で聞かれたか、完成した文章に必要項目があるかを見ます。

このとき確認できるのは、試した条件での使いやすさです。無料で使ってもらえたことを、そのまま有料講座の需要に置き換えないようにします。反対に、有料の試験提供をすれば全体市場が証明できるわけでもありません。試験価格や直接の関係性を含む、限られた条件での購入記録です。

試験提供の募集要項・架空の完成例
項目 記載例
募集の目的 案内文の見本を使い、自分の教室の文章を作れるかを確認する試験提供です
対象と持ち物 開催日・参加方法・準備物が決まっている教室運営者。個人情報を除いた案内の下書きを用意
内容と時間 オンラインで60分。見本の説明、記入、抜けの点検を行います
費用 今回は無料。終了後の有料契約は参加条件にしません
協力をお願いすること 終了後に、分かりにくかった箇所と作れなかった箇所を回答
公開の扱い 回答や完成物は許可なく宣伝に掲載しません。掲載をお願いする場合は内容と表示方法を別途確認

有料で試す場合は、実際に提供できる状態にして、支払う総額、提供日、内容、変更やキャンセル時の扱いなどを申込前に示します。未完成なのに完成済みのように見せて反応を見る方法は避けます。ここでは販売上の法的な手続きや表示の個別判断は扱いません。

結果を一枚に戻して、作る・変える・保留するを決める

次は、同じ講座案についての架空の記入例です。少人数の比率を市場全体の購入率として使うための表ではありません。

需要確認シート・調査後の架空記入例
観測の種類 残した記録 次の判断
悩みの聞き取り 対象条件に合う4人。2人は準備物の確定、1人は文章作成、1人は配信設定で止まっていた 四人を同じ需要として合算しない。今回の内容で解決する相手を見直す
無料試作品 文章作成が課題の1人が使用。開催情報が揃っていれば見本から下書きを作れた 全員に講座が必要とは言えない。教材だけで足りる可能性も残す
申込意向 実習付きなら検討したいという発言が1件。価格提示・申込は未実施 意向として記録。購入の実績欄には入れない
購入 試していない 有料需要は未確認。長編録画の制作は保留

この例なら、すぐに全講座を作る理由はありません。「文章を教える」より前に、開催情報を整理する課題が見つかったからです。講座案を変えるなら、対象と完成物を更新してから、次の小さな確認を設計します。

何人に聞けば十分かを、一律には決められません。対象のばらつきや調べたいことが違うためです。最初は小さく始めても、同じ立場の知人だけに偏っていないか、異なる回答を説明できているか、まだ誰に聞いていないかを記録してください。調査人数を増やす前に、質問自体がずれていないかを直す方がよい場面もあります。

進める条件も事前に書いておきます。例えば「特定の場面を解決したい人が確認でき、見本のどこで止まるかが分かったら、その部分だけ試験提供する」。これは市場の合格基準ではなく、次に使う制作時間を決める自分の条件です。結果に合わせて都合よく基準を書き換えず、変更するなら理由を残します。

調査を終えたら、目次より先に不明点を一つ選ぶ

講座案を書いた後に「まだ売れるか分からない」と感じるのは自然です。ただ、その不明点は一つではありません。悩んでいる相手が分からないのか、教え方が合うか分からないのか、提示条件で買うか分からないのか。調べる方法は、それぞれ違います。

まずは講座案を一枚にして、もっとも大きな不明点を一つ書いてください。相手の場面が不明なら聞き取り、使えるかが不明なら試作品、条件を受け入れるかが不明なら提供可能な範囲での案内へ進みます。

すでにLPを公開していて申込がない場合は、需要だけでなく、案内の食い違いや受付の不具合も分けて確かめます。こちらはLPにアクセスがあるのに申し込みがないときの点検で具体的に扱っています。調査の段階でも公開後でも、「まだ確かめていないこと」を見える形にする。その一手が、次に作るものを絞る助けになります。