ポジショニングマップの作り方|小さなサービスの違いを比較軸から考える

三つの紙のサービス模型と二枚の直交する比較用ボードの静物画

こんにちは。バナナデスクです。

競合を地図へ並べ、自分の商品を空いている右上へ置く。ポジショニングマップを作ったはずなのに、その商品が誰に必要なのかは、まだ分からないことがあります。

「高品質」「手厚い」の位置を自分の感覚だけで決めたなら、図が示しているのは顧客の評価ではありません。まずは何を基準に置いた点かを説明できる状態にすることが先です。

今回は、サービス案内文を整える3種類の架空サービスを使います。同じ3案でも、金額と受取日数で見る場合と、準備と個別対応で見る場合では、違いが変わります。

仕様の比較か、顧客の認識かを決める

OpenStaxの製品ポジショニングの説明では、顧客がどう認識しているかを表す知覚マップと、購入判断に関わる属性を扱っています。顧客の認識を描くなら、調査した対象、質問、尺度などが必要です。

一方、公開されている料金や納品条件を並べる図は、仕様の比較です。今回作るのはこちらの考え方を使った仮例で、利用者が感じた品質や人気の地図ではありません。

A3300円0日、B33000円5営業日、C11000円1営業日を配置した仕様比較図
架空の条件。受け取るものが異なるため、安さと早さだけで優劣を決めない。

配置に使う3サービスの条件

架空案 受け取るもの 税込料金 条件が揃ってからの受取 利用前の準備(仮定) 個別の対話時間
A:記入用キット 説明動画と記入見本。個別の添削なし 3,300円 当日・0日 15分 0分
B:範囲整理相談 60分相談と個別の案内文下書き 33,000円 5営業日 30分 60分
C:原稿コメント 提出原稿へのコメントと30分の確認 11,000円 1営業日 60分 30分

準備時間は、サービスを利用し始めるまでに必要な作業という仮定です。Aの15分は案内に使う条件メモを揃える時間、Bの30分は相談用メモの整理、Cの60分は提出原稿の作成に置いています。実測値や一般的な所要時間ではありません。

Aのキット受取後の執筆や、B・Cの受取後の修正は、この準備時間に含めません。完成までの総作業時間を比べた図ではないため、「Aなら文章が15分で完成する」とは読めません。

受取日数も、申込ボタンを押してからではなく、必要な資料と実施条件が揃った時点を起点にします。実際に比較する場合は、予約待ちや休日、資料確認の時間を含むかを揃えてください。

軸1:料金と、受取までの営業日

横軸を税込料金、縦軸を必要条件が揃ってから受取までの営業日とします。配置はAが3,300円・0日、Bが33,000円・5日、Cが11,000円・1日です。

この図だけならAが安くて早く見えます。ただし、Aは共通キットで、Bの個別下書きを含みません。同じ成果物を安く早く受け取れるという比較にはなっていないのです。図の近くへ、受け取るものを必ず書きます。

ここから考えられる問いは、「自力で書ける人にはA、条件整理も手伝ってほしい人にはBという選び方が伝わるか」です。「Bは高くて遅いから売れない」とは判断できません。

軸2:準備時間と、個別の対話時間

同じ3案を、横軸が利用前の準備に必要な時間、縦軸が個別に話せる時間という別の図へ移します。Aは15分・0分、Bは30分・60分、Cは60分・30分です。

利用前の準備と個別対話時間の仮定で、A15分と0分、B30分と60分、C60分と30分を配置した図
準備は利用開始前だけの仮定。受取後の執筆・修正は含まない。実測値ではなく、対話の長さも品質の順位ではない。

こちらでは、Cは事前に原稿を作れる人向けで、Bはメモの段階から対話で整理する設計だと見やすくなります。それでも、対話が長いほど品質が高いとは限りません。何を決める時間なのか、受け取るものは何かを一緒に確認します。

二枚目の図は、料金の安さだけでは見落とす利用前の負担を考えるためのものです。実際の準備時間を比較したい場合は、同じ条件の利用者で観察し、幅や未完了の扱いも残す必要があります。

軸を選ぶ時に確かめる三つのこと

確認すること 今回の例
読者の判断に関係するか 予算、急ぎか、自分で原稿を書けるかという選択につながる
配置の基準が同じか 税込額、起点を揃えた営業日、仮定として明記した分数を使う
似た意味を二重に使っていないか 「高級」と「高価格」だけより、作業量や提供形式の別の違いを見る

「専門性が高い」「親切」のような軸が必要なら、評価方法を定義します。料金が高いから専門性も高いと置く方法では、比較の根拠が循環します。分からない項目は、無理に点を置かず調査待ちにします。

空いている場所には、需要以外の理由もある

二枚目の図で「準備なし・個別対応60分以上」が空いていたとしても、すぐ商品化できるとは限りません。事前資料なしでは相談が進まない、提供側の負担が大きい、対象者が望んでいない、といった理由も考えられます。

空白から立てるのは仮説です。「資料を整理できない人向けに、事前整理を手伝うサービスは必要か」と問いを作り、対象者の困り方、支払ってでも解決したい場面、提供に必要な作業を確かめます。地図の空白だけを、未開拓の市場と呼ばないようにします。

見つけた違いを、案内文へ戻す

B案を選ぶ理由を説明するなら、「最高品質のサポート」より、「原稿が完成していなくても、条件メモを基に60分の相談で提供範囲を整理。必要な資料と実施条件が揃ってから5営業日で、個別の下書きをお渡しします」と書けます。ここで初めて、比較軸が顧客へ伝える内容に変わります。

実在サービスへ置き換える時は、URL、確認日、対象プラン、税込・税別、申込条件を残してください。自分のサービスだけ有利な条件で置かず、二つの軸で省かれた違いも併記します。地図は結論ではなく、違いを説明し、次に確かめる問いを作るために使います。