こんにちは。バナナデスクです。
記事を公開し忘れた理由を聞くと、「確認不足でした」と返ってくる。その答えだけで終えると、次の担当者も何を確認すればよいか分かりません。
なぜなぜ分析では、問いを繰り返す前に、起きたことを記録で確かめます。「注意が足りなかった」を深く掘るより、「公開予定時刻をどこで確認したか」「完了の条件は何だったか」を調べる方が、直せる工程に近づきます。
問題を、時刻と状態で書く
以下は、操作記録を含めて作った架空のケースです。実際のブログの障害や担当者の行動を報告するものではありません。対象の記事Aは10月8日9時公開予定でしたが、9時15分に公開ページがなく、管理上の状態は下書きでした。
| 日時 | 記録されている事実 | この記録だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 10月7日15:00 | 原稿v03を承認済みフォルダへ保存 | 予約設定まで行われたか |
| 15:20 | 編集画面の保存記録。状態は下書き、公開日時欄は空 | なぜ設定しなかったかという本人の意図 |
| 15:25 | プレビューURLを開いた記録 | 一般公開URLで表示されたか |
| 15:30 | 作業表の「入稿」を完了へ変更 | 「完了」に予約設定を含める合意があったか |
| 10月8日9:15 | 公開URLに記事なし。管理状態は下書き | 他の記事や別の時刻にも同じ問題があったか |
「担当者が忘れっぽい」という説明は、表のどこにも根拠がありません。観測できる問題は、公開予定時刻を過ぎても下書きだったことです。まずこの範囲で扱います。
なぜの答えに、根拠と未確認を並べる
ASQのFive Whys解説では、原因や解決へたどり着く問いの回数は、5回より少ない場合も多い場合もあるとされています。回数を埋めるために、記録のない心理を足す必要はありません。
| 問い | 現時点の答え | 根拠・次の確認 |
|---|---|---|
| 予定時刻に公開されなかったのはなぜか | 予約済みではなく下書きのままだった | 保存時と翌朝の状態記録 |
| 下書きなのに作業表が完了したのはなぜか | 作業表の完了項目が「本文・画像の保存」だけだった可能性 | 当時の作業表v01を確認。予約欄がない設定 |
| 公開準備の不足を検出できなかったのはなぜか | 点検欄がプレビュー表示までで、予約状態と日時の照合欄がなかった | 点検表v01とプレビュー記録 |
| 誰が予約設定を担当する合意だったか | この資料では未確認 | 依頼時の役割表とやり取りを確認する |
下書きのままだったことは、このケースの記録で確認できる直接の状態です。一方、役割の合意が曖昧だったかどうかは、追加資料が必要です。最後を無理に「教育不足」と結論づけず、未確認のまま残します。

別の原因も調べ、合わない枝は外す
| 原因候補 | 必要な確認 | 今回の架空記録との関係 |
|---|---|---|
| 予約後に実行処理が失敗した | 予約状態になった履歴、実行ログ | 下書き保存しかない現記録では支持されない。予約履歴が別に見つかれば再検討 |
| 時差設定が違った | 設定された日時・タイムゾーン | 日時欄自体が空なので、この一件の説明としては弱い |
| 権限がなく予約できなかった | 当時の権限、操作エラー | 現在の資料では未確認。権限問題と断定しない |
| 予約操作が工程から抜けた | 作業表・点検表・役割表 | v01に予約と日時の欄がない点は支持。ただし担当の合意は未確認 |
原因候補を複数残すことは、分析の失敗ではありません。資料で支持できるものと、まだ調べるものを区別できた状態です。複数の問題が重なった可能性もあるので、一つの原因へ収束させることを目的にしません。
対策を「気をつける」から、確認できる工程へ変える
今回の記録から直せるのは、作業表と完了条件です。次のv02では、入稿と予約を別項目にし、誰がどこまで行うかを記入します。
| 項目 | v02の完了条件 | 残す証拠 |
|---|---|---|
| 入稿 | 承認版の本文と画像が保存され、プレビューを確認 | 原稿版と確認日時 |
| 公開準備 | 予約状態・公開日時・タイムゾーンが依頼内容と一致 | 設定値と担当名 |
| 公開確認 | 予定後に一般公開URLで本文と画像を確認 | URLと確認日時、異常時の連絡先 |
この表を追加するだけでは、実行されたことにはなりません。予約担当と点検担当が同じ人なら、その前提を書きます。別の人による確認を行っていないのに、二重確認済みとは記録しません。
対策後に見ることを、先に決める
検証計画の例は、次の5記事について、入稿・公開準備・公開確認の記録が残ったかを確認することです。予定時刻、実際に確認した時刻、抜けた項目を一件ずつ記録し、公開されていなければ、その場の対応と原因調査を分けます。
5件とも公開できても、「再発しない仕組みが完成した」とは言えません。少数の運用で記録を取り始めた段階です。予約は正しくても実行処理が止まる別の問題が起きたなら、次はそのログを基に分析します。
なぜなぜ分析の最後に残したいのは、性格の評価ではなく、どの工程をどう直し、何を見て確かめるかです。根拠が途切れたら問いを止め、必要な記録を取りに行く。その進め方なら、同じ「確認不足」という言葉を繰り返さずに済みます。