こんにちは。バナナデスクです。
AIに「この3社を比較して」と頼むと、きれいな表がすぐに出てきます。困るのは、その表の「月額980円」が、毎月払う料金なのか、年間契約を12で割った金額なのか分からないときです。
金額の写し間違いがなくても、条件が違えば比較を誤ります。「無料15GB」と「無料5GB」も、何に使う容量なのかまで読んで初めて判断材料になります。
今回は、AIを使って競合やサービスの比較表を作るときに、どの情報を揃え、どこを原文へ戻って確認するかを説明します。Google、Dropbox、Microsoftの公開資料を実際に照合した小さな比較表と、料金の計算例を使います。AIの生成精度を測った実験ではありません。
最初に「何を決める比較か」を一文にする
比較項目を増やす前に、表を使う人が決めたいことを絞ります。たとえば「個人で資料の受け渡しを始めるとき、無料枠を試す候補を選ぶ」なら、容量、容量を共有する範囲、相手への渡し方が候補になります。
一方、顧客情報を社内で共有する仕組みを決めるなら、管理者の権限、契約条件、退職時の管理、保存する情報の種類まで必要です。無料容量だけの表から、業務での採用を決めることはできません。
自社と競合を比べる場合も同じです。「初心者向けか」という曖昧な項目より、「初回の設定を代行するか」「問い合わせへの対応時間を公開しているか」のように、原文で確認できる条件へ分けます。判断を含む言葉と、確認できる事実を同じ欄に入れないのが出発点です。
比較表の前に、情報の台帳を作る
最終的な表には短い文章を載せます。その前段階では、1つの値に対して「サービス・プラン・対象者・値・条件・根拠・確認日」を残してください。URLだけでは、ページのどこに書かれた情報なのか後から探し直すことになります。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 決めたいこと | 個人用の無料容量を試す候補を選ぶ |
| サービスと対象 | Microsoft/サブスクリプションのない個人用アカウント |
| 確認した値 | クラウドストレージ5GB |
| 同時に読む条件 | OneDriveのファイル、Outlook.com添付ファイル等と共有。メールストレージ15GBとは別枠 |
| 原文の位置 | MicrosoftストレージFAQ「追加のストレージを購入する必要がありますか?」 |
| 確認日 | 2026年9月30日 |
この記入例は、Microsoft公式FAQの説明に基づきます。表で「OneDriveは15GB」としてしまうと、メール用の容量とクラウド用の容量を取り違えます。数字を拾うだけでなく、数字の直前・直後を読む必要がある例です。

公開資料3件から作った、条件つきの比較表
下表は2026年9月30日に確認した、個人向けの基本無料枠の説明です。追加容量、特典、組織向け契約を含めません。使いやすさや安全性を順位づけした表でもありません。
| 対象 | 基本無料容量 | 一緒に読む条件 | 原文 |
|---|---|---|---|
| Googleアカウント | 15GB | Googleドライブ、Gmail、Googleフォト等で共有。ドライブ専用の空き15GBとは限らない | Googleドライブの保存容量 |
| Dropbox Basic | 2GB | Basicの基本枠。個別の追加容量や特典はこの表の対象外 | Dropbox Basic公式ページ |
| Microsoftの無料個人用アカウント | 5GB | OneDrive、Outlook.comの添付ファイル等で共有。別枠のメール容量と混同しない | MicrosoftストレージFAQ |
この表から言えるのは、公式に説明されている基本容量と、その範囲です。「この容量が全部空いている」「仕事用にも最適」とまでは言えません。すでに写真やメールを保存している人は、アカウント内の実際の使用量を確認する必要があります。
顧客への資料共有まで比較したいなら、次に別の表を作ります。閲覧だけか編集も許すのか、相手のアカウントが必要か、リンクの公開範囲をどう制御するか。同じ容量表へ機能名だけを追加して「○」を付けず、相手が行う操作ごとに確認します。
AIへは、空欄を残せる指示を渡す
AIに全項目を埋めることだけを求めると、曖昧な記述が断定へ変わっても見つけにくくなります。資料を閲覧できる環境なら原文を確認させ、閲覧できない環境なら自分が読んだ抜粋とURLを渡します。URLを渡したことと、本文を読めたことは別です。
目的:個人向けサービスの基本無料枠を比較する。 対象:指定した3サービスの公式資料だけ。 出力:サービス/プラン/値/対象と条件/根拠URL/原文の見出し/確認日。 ルール: ・資料に書かれていない項目は「確認できず」とする。 ・無料枠と無料体験、有料プランを混ぜない。 ・容量を他機能と共有する場合は条件欄へ書く。 ・見出しだけで判断せず、対象プランと注記を確認する。 ・ページを読めない場合は、そのURLの内容を推測しない。 ・おすすめ順位と総合点は作らない。 最後に、原文で人が再確認すべき項目を列挙する。
「確認できず」は「機能なし」ではありません。公開されていない、別の資料にある、ログイン後に表示される、今回は確認できなかった。この区別が必要なら、不明の理由も一言残します。
比較対象が自社サービスなら、自社だけ内部情報を使い、競合を公開情報だけで評価すると材料の深さが違います。公開記事では、比較の基準日と情報の範囲を明示し、競合の空欄を弱点として扱わないようにします。
料金は契約期間と支払額を分けて計算する
次は説明用の架空料金です。Aプランは年額12,000円の一括払い、Bプランは月額1,200円で毎月払い、どちらも同じ税込条件とします。
| 項目 | Aプラン | Bプラン |
|---|---|---|
| 請求方法 | 年額12,000円を一括払い | 月額1,200円を毎月払い |
| 12か月使う支払額 | 12,000円 | 1,200×12=14,400円 |
| 1か月当たりの換算 | 12,000÷12=1,000円 | 1,200円 |
| 3か月で利用をやめる場合 | 返金条件を別途確認。3,000円とは計算しない | 解約・最低利用期間の条件を別途確認 |
12か月使う前提なら差額は2,400円です。しかし「月額が200円安い」という短い説明だけでは、一括払いと途中解約の条件が消えてしまいます。初月割引、最低人数、従量料金、税、通貨がある場合も別の欄で確認してください。
本稿の資料確認では、日本語指定のGoogle One料金ページを取得しても、表示された料金の通貨が韓国ウォンになるケースがありました。ページの言語だけで日本向け料金と判断せず、地域と通貨が揃うまで日本円の比較欄を埋めない、という扱いにしています。参照:Google Oneのプランページ。
公開前は「強い言葉」から原文へ戻る
表が完成したら、まず「無料」「無制限」「誰でも」「商用利用可」「最安」「必須」といった、読者の選択を大きく変える言葉を確認します。注記を削ると意味が変わりやすい箇所だからです。
- その値は、行に書いたプランの情報か。
- 一般公開の基本条件か、期間限定・紹介特典・個別契約か。
- 税・通貨・人数・契約期間・容量の単位が揃っているか。
- 「記載を発見できなかった」を「対応していない」に変えていないか。
- 読者がリンク先の見出しから同じ説明を見つけられるか。
- 表の下の結論が、確認した項目より広い推薦になっていないか。
違いを説明しにくいときは、点数を作るより条件別に書きます。「基本容量を確認したい人はこの表。組織で顧客情報を扱う人は契約・権限を追加確認する」という形なら、確認できた範囲からはみ出しません。
更新できる比較表にする
料金や機能が変わったら、値だけでなく注記と結論も直します。容量が増えても、共有相手の条件が変わっていれば「この用途なら使える」という判断はそのままにできません。
管理用には「以前の値/現在の値/変更した原文/確認日/本文で直した箇所」を残しておくと追いやすくなります。未確認のまま日付だけ更新する運用は避けてください。
最初は3サービス、決めたいことに必要な3〜5項目で十分です。読者が選ぶ理由を確かめられるところまで絞り、条件が揃わない欄を正直に残す。AIを比較作業に使う価値は、表を埋める速さだけでなく、確認すべき違いを見落としにくくすることにあります。