提案書の書き方|相手の課題・提案範囲・進め方をつなぐ完成例

重ねた提案資料と黄色のタブを表した紙の立体イメージ

こんにちは。バナナデスクです。

サービスの説明は書けるのに、提案書になると手が止まる。「私たちはこんなことができます」を並べても、相手が知りたい「今回は何を頼めばよいか」には、まだ答えていないからかもしれません。

たとえば「LPを改善します」より、「料金に含まれる範囲と申込後の流れを、ページ内で確認できるようにします」の方が、何を変える提案なのかが見えます。デザインの前に、要望と作業のつながりを作るわけです。

ここでは小規模なWEB支援を例に、要望メモを5ページの提案へ組み立てます。さらに、初稿の後で「もう1ページ増やしたい」と言われた場面まで追い、何をどこへ書き戻すかを示します。案件・金額・日程・返信は説明用の仮例です。実在の受注事例や相場ではありません。

提案書には、依頼するか判断するための材料を書く

提案書で揃えたいのは、現状、変えたいこと、今回行う作業、渡す成果物、費用と日程、相手にお願いすることです。すべてを長く説明する必要はありません。ただし、このうち一つが抜けると「良さそうだが、結局何を買うのか分からない」という状態が残ります。

Atlassianの提案書ガイドも、目標、日程、予算、成果物などを、読み手の目的に合わせて整理する考え方を示しています。以下の5ページ構成は、その原則を小さなWEB支援案件に合わせた編集例です。ページ数自体に正解があるわけではありません。

要望、作業、成果物、完了条件を一列につなげた図
提案書は、元の要望がどの作業と成果物へつながるかを確認する。

会社紹介や経歴を先に何ページも置くより、この提案が必要になった事情から始める方が、相手は自分の案件として読み進められます。紹介が必要なら、今回の作業を任せられる理由に関係する事実だけを後ろへ添えます。

元の要望メモから、事実と未確認事項を分ける

例の依頼者は、オンライン相談サービスを運営する事業者です。打合せメモを次のように仮定します。

  • 相談ページは公開済み。料金は書いてあるが、相談後に渡す資料の説明がない。
  • 問い合わせ時に「相談後は何を受け取れますか」と聞かれることがある。
  • 次の案内に使うため、11月中に説明を整えたい。
  • 既存の予約フォームは継続して使いたい。
  • アクセス数や申込率は、この打合せでは共有されていない。

ここから「申込率が低い原因は説明不足」と断定してはいけません。分かっているのは、資料の説明がページにないことと、質問が来ることです。提案では「説明不足の解消」を作業の目的にし、申込率への影響は公開後に確かめる対象にします。

未確認の内容には、担当と回答期限を置きます。この例では、依頼者の確認担当が10月28日までに、ページとフォームの編集可否、テストで課金が発生しない方法、公開を承認する人を確認する設定です。権限がなければ、制作開始後に「反映できない」と分かるため、発注判断の前へ出します。

説明を書く材料として、架空の提供条件メモも用意します。相談は60分、料金は33,000円(税込)、相談後3営業日以内に振り返りメモをPDF1枚で渡すものとします。契約書の作成は対象外です。ここでの33,000円は相談サービスの料金で、この後に示すページ改訂費132,000円とは別です。

WEB支援の提案書・5ページの完成例

以下は、2026年10月26日に提出する当初案v01という設定です。依頼者の確認担当は田中さん、制作窓口は佐藤さんとします。どちらも架空の人物です。読み手が「何を依頼し、いつ何を返せば進むか」を、この5ページだけで判断できるように書きます。

1ページ目:現状と今回の目的

オンライン相談ページの説明整理のご提案
当初案v01/2026年10月26日/依頼者窓口:田中さん/制作窓口:佐藤さん

現状の相談ページでは料金は確認できますが、相談後に受け取る資料と、申込後に必要な準備が説明されていません。「相談後は何を受け取れるか」という問い合わせに、その都度答えている状況を踏まえ、公開済みの相談ページ1件を改訂します。

料金に含む60分相談と振り返りメモPDF1枚、資料を渡す時期、申込から相談までの流れを掲載します。依頼前に対象と提供内容を確認できることが目的です。新サービスの企画や、サイト全体の作り直しは行いません。

作業の完了は、合意した説明の掲載と、既存フォーム経由の受付確認で判断します。アクセス数・申込率は共有されていないため、説明の改訂が申込を増やすとは断定しません。公開後の質問内容や申込状況の評価は、制作の完了と分けて扱います。

2ページ目:作業範囲と納品物

既存デザインと予約フォームを使い、下記の4点を制作・共有します。相談後のPDF見本は依頼者から提供されたものを使い、その内容自体の制作は含めません。

実施すること 納品・確認するもの
サービス内容の整理 料金・対象・成果物・対象外を照合した確認メモ1点
原稿の改訂 相談ページ1件分の編集可能な原稿。料金、PDF1枚の内容と提供時期、申込後の流れを含む
既存ページへの反映 合意した原稿を反映したページと、PC・スマホの表示確認記録
既存フォームの接続確認 テスト送信1件の完了表示・受付記録・通知を照合する記録

決済機能の新設、予約システムの移行、別ページの制作、ロゴ制作、広告出稿は含みません。フォーム自体の不具合が見つかった場合も、今回含むのは不具合の箇所・再現条件の報告までです。修理の作業と費用は別に相談します。

確認の結果、受付が正常に完了しなければ、接続確認を合格にはしません。不具合の報告をもって公開承認へ進めず、修理または公開延期の方針を決めます。

3ページ目:進め方と相手にお願いすること

11月18日の公開を目指す日程案です。田中さんが料金表・利用許可のある資料見本・申込後の案内手順・必要な権限を10月30日までに用意し、以下の確認期限で返答できることを前提とします。

予定 制作側・佐藤 依頼者側・田中
11月2〜4日 既存ページと資料を照合し、条件確認メモを共有 メモの不明点に回答し、掲載できる条件を確定
11月5〜9日 相談ページ原稿の初稿v01を提出 11月11日正午までに修正点を一つの一覧で返す
11月12〜16日 修正を反映。表示とテスト受付を確認し、公開候補版を共有 原稿と確認記録を照合する
11月17日正午まで 反映漏れなどの指摘を確認 公開候補版の版番号を付け、公開可否を返信
11月18日 明示的な公開承認後に反映。公開後も表示とリンクを確認し、納品記録を渡す 受取内容と公開ページを確認

資料や返答が遅れた場合は、後工程への影響を確認して公開日を再調整します。返事がないことを承認とは扱いません。原稿の内容確認と、サイトへ公開してよいという承認も分けて記録します。

4ページ目:費用と変更の扱い

提案金額は合計132,000円(税込)です。内容整理33,000円、原稿作成44,000円、ページ反映33,000円、表示・接続確認22,000円を含みます。説明用の仮金額であり、市場相場や標準価格ではありません。

本例の支払案は銀行振込で、10月30日までに66,000円、納品後の11月30日までに66,000円です。範囲と日程を含め、この条件で進められるかを発注前に確認します。

初稿への一括の修正依頼1回と、その反映漏れの訂正を含みます。例えば、確認メモと異なる料金へ書き換わっていれば訂正対象です。一方、対象サービスやページの追加、合意後の全面的な方向変更は、最初の原稿の修正と区別します。

追加の要望は、変更したい内容、必要な理由、希望日をお知らせください。制作側が成果物・追加費用・日程への影響を示し、双方が変更案を確認してから着手します。追加した作業を口頭だけで進めず、提案書の該当箇所と見積書を改訂します。

5ページ目:完了条件と次の確認

田中さんと佐藤さんは、公開候補版で、①料金・60分相談・PDF1枚と提供時期・対象外が確認メモと一致すること、②申込後の流れが読めること、③PC・スマホで主要な説明が欠けないこと、④テスト1件の完了表示・受付記録・通知を照合できることを確認します。

公開後は、公開URL、編集可能な最終原稿、条件確認メモ、表示・接続の確認記録を共有します。確認記録には実施日と確認範囲を残し、未解決事項があれば完了に混ぜず記載します。申込件数の増加は、この納品の合否条件には含めません。

11月2日の着手を希望する場合は、10月28日までに、対象1ページ・132,000円の範囲、支払案、資料提供と返答期限、公開承認者、編集権限と安全なテスト方法について、進行可能かご回答ください。不明点があれば、その項目と回答予定日をお知らせください。

ご返信の例:「提案v01の範囲と費用で進める方向です。公開承認は田中が担当します。フォームのテスト方法だけ確認中のため、10月28日午前に回答します。」このように、進められる点と、着手前に残る確認を分けて返せます。

当初案v01の5ページは、PDFでも読めます。下の追加依頼の例は、この当初案のどこを改訂するかを考えるための続きです。

5ページの提案書の完成見本(PDF)

「要望に答えているか」を最後に一対一で照合する

元の要望 提案内の対応 残る確認
相談後の資料を説明したい 1・2ページ目で成果物の説明を追加 見本を掲載してよい範囲
11月中に使いたい 3ページ目に公開までの日程 資料と承認の到着日
フォームを継続したい 2ページ目で移行を範囲外とする 既存フォームを編集できるか

この照合で対応先がない要望は、提案の抜けか、今回は扱わない内容です。扱わないなら理由と次の選択肢を書きます。「別途対応します」だけでは、今回の金額に含まれるようにも読めるためです。

「よくある質問を別ページに」へ、金額と日程をどう返すか

同じ案件で、11月9日に初稿を提出した翌日、依頼者から追加の要望が来たとします。以下の往復も説明用の仮例です。

11月10日・田中さんからの依頼例:相談ページとは別に、よくある質問を1ページ作れますか。質問を10件に整理したメモを用意できます。できれば元の11月18日に、両方を公開したいです。

ここで「修正1回に含めます」と即答すると、1ページだった対象が2ページに変わったことが見えなくなります。逆に「追加です」と金額だけを返しても、18日に必要なものを相手は選べません。元の範囲を守る案と、ページを増やす案を並べます。

選択肢 制作するもの 税込総額 公開案と条件
A:当初案のまま 相談ページ1件。料金・成果物・申込後の流れを掲載 132,000円 11月18日。FAQ別ページは作らない
B:FAQを追加 相談ページ+FAQページ1件、質問10件まで。提供済み条件から回答原稿を作る 176,000円 11月25日。11月12日までに質問と回答の根拠を受領し、確認期限を組み直す

B案の追加44,000円は、FAQ原稿22,000円、ページ反映11,000円、表示・リンク確認11,000円という仮定です。132,000+44,000=176,000円。先に66,000円を受領済みという設定なら、納品後の残額は110,000円になります。数字だけでなく、10件を超えた場合や新たなサービス条件を決める作業は含まないことも添えます。

制作側から返す変更提案の例

FAQページは追加できます。18日の公開を優先する場合はA案で相談ページを整え、FAQは別の予定としてご相談します。両ページを今回まとめて作る場合はB案となり、総額176,000円、公開は11月25日を提案します。

B案では、11月12日までに質問10件と回答の根拠を受け取り、16日にFAQ初稿、18日正午までに一括の修正回答、20日に両ページの公開候補版、24日正午までに田中さんの公開可否の回答という順で進めます。新規ページの追加と確認工程が必要なため、18日の同時公開はこの案ではお約束していません。

A・Bのどちらを希望するか、12日までの資料準備が可能かを11月11日正午までにお知らせください。Bを選ぶ場合は、変更箇所を反映した提案v02と見積書をお送りします。内容をご確認いただいてから追加作業を始めます。

相手が選ぶための材料は、値上げの説明だけではありません。「18日を守るなら何を残すか」「2ページ作るならどの準備と返答が必要か」という、相手側の仕事まで含めた選択肢です。

返答を受けたら、変更を該当ページへ戻す

田中さんからの返信例:B案を希望します。質問10件と条件メモは12日までに共有し、25日公開で調整できます。金額と確認日程を反映したv02を確認させてください。

この返信は変更案を作る材料です。まだ「v02を確認済み」と書き換えません。2ページ目の範囲を2ページへ、3ページ目の日程を25日公開へ、4ページ目の総額を176,000円・残額を110,000円へ改訂します。5ページ目にはFAQ10件の条件照合と、相談ページとの相互リンク確認を追加し、v02の確認を受けた後に追加制作へ進みます。

当初のv01も残しておけば、何が増えたために金額と日程を変えたかを説明できます。回答が曖昧なら、推測で追加せず、「B案の範囲・総額・確認日程のうち、未確認なのはどれか」を尋ねます。契約条件の判断と、ここで示す制作上の変更整理を一緒にはしません。

提出前に、受け取る相手の立場で読む

まずタイトルと1ページ目だけを見て、何を変える提案か説明できるか確かめます。次に、成果物、含まない作業、依頼者の準備、確認期限を探してください。説明を受けなければ見つからないなら、見出しや配置を直します。

金額を下げたいと言われた場合も、先に削れる範囲を示します。例なら、原稿を依頼者が用意し内容整理を省く案は作れますが、料金表の事実確認まで省いてよいわけではありません。費用と成果物をセットで調整することで、安くした後に何が残るかが分かります。

提案書の最後には、返してほしい答えを一つ置きましょう。「ご検討ください」だけで終えず、「範囲・公開日・確認者について相違があればお知らせください」と書く。相手が次に進める文書になっているかが、提出前の確認点です。