こんにちは。バナナデスクです。
たとえば、会話には「参加費は9,800円という案があります」とあるのに、AIの議事録では「参加費9,800円に決定」となっていた。金額は合っているので、数字だけ見直しても、この間違いは見つかりません。
確かめたいのは、その数字が出たかではなく、どの発言で、何として扱われたかです。「案」「未定」「決定」を区別し、抽出した一行から元の発話へ戻れるようにすると、直すべき場所が具体的になります。
今回は12発話の架空記録を使い、AIへの依頼、誤抽出を見つける例、修正後の抽出表まで一続きで示します。音声や特定サービスの文字起こしを検証した記事ではありません。会話記録から議事録の材料を取り出し、根拠と照合するための編集例です。
AIに渡す前に、発言へ戻れる番号を残す
会話をAIへ渡すときは、話者と発話番号を残します。「料金の話をした」という要約だけにすると、料金を決めたのか、確認を先送りしたのかまで落ちてしまうからです。先に短くまとめ直すより、判断が変わる箇所の原文を残します。
この教材では、会話の一つの発言に一つの番号を付けます。発話02の中に日程への同意と料金の保留が一緒にあっても、元の番号は変えません。抽出表では二つの項目に分け、両方に発話02を付ければ、会話との対応を保てます。
使う記録の版、会議の年月日、話者の呼び方も入力条件へ書きます。以下は2026年の講座準備という設定です。台本では年を省略していますが、AIに現在の年を推測させず、この前提を一緒に渡します。
入力例:12発話の会話記録を、そのまま読む
担当Aと担当B、講座、金額、日付はすべて架空です。以下は配布ZIPにも入っている自作台本の全文で、録音を書き起こしたものではありません。台本中には音声処理の練習という設定がありますが、今回の教材に実音源はなく、発話番号も実録音の時刻ではありません。
発話01 担当A
今日は、架空のオンライン講座、案内文見直し会の準備を相談します。これは音声処理の練習用の会話です。開催は十一月十八日、水曜日、十九時から二十時、日本時間です。対象は教室の案内文を改善したい運営者です。
発話02 担当B
日程はその内容で決定しましょう。参加費については、九千八百円という案があります。ただ、まだ原価を確認していません。今日の段階では料金を確定せず、資料の見出しにも、料金未定と残してください。
発話03 担当A
分かりました。料金は未定です。次に、案内ページの原稿は私、担当エーが作ります。初稿の期限は十月八日の木曜日、十七時とします。日時、対象者、当日の進め方を入れて、料金欄だけは未定のまま渡します。
発話04 担当B
初稿を受け取った後の確認は、私、担当ビーが行います。十月九日の金曜日、十二時までに修正箇所をまとめます。文章を確認したという意味であって、料金を承認したことにはしないように、記録にも分けて書いてください。
発話05 担当A
当日の録画を配布すると便利かもしれません。参加できない方にも見てもらえます。ただ、録画の内容や配布範囲をまだ決めていないので、これは提案です。いま配布ありと案内文へ書くのはやめておきましょう。
発話06 担当B
録画は未決という扱いですね。別の決定として、当日の配布物は案内文の点検シート一枚にします。三つの確認欄を用意し、参加者が自分の文章を書き込める形にします。これは今日決めた内容として残せます。
発話07 担当A
点検シートは私が作ります。提出は十月十三日の火曜日、十七時です。確認欄は、誰に向けた案内か、参加すると何をするか、必要な日時と場所があるか、この三つです。料金判断の表は今回は含めません。
発話08 担当B
集客の目標として二十人を考えていましたが、ここは修正しましょう。今回は募集定員を十二人に決定します。二十人は以前の案なので、決定事項へ残さないでください。申し込みの受付開始日は、まだ決めていません。
発話09 担当A
定員は十二人、受付開始日は未定ですね。料金の原価確認については誰が担当するかも、まだ決めていません。私が原稿担当だからといって、料金の確認担当まで私に割り当てないでください。次の相談で決めましょう。
発話10 担当B
確認です。決まったのは開催日時、対象者、定員十二人、配布物一枚です。作業は、エーが十月八日までに案内原稿、ビーが十月九日までに確認、エーが十月十三日までに点検シートを用意する。この三件です。
発話11 担当A
原稿の期限は十月八日の十七時、確認は十月九日の十二時、点検シートは十月十三日の十七時ですね。どれも日本時間です。料金、録画、受付開始日、料金確認の担当と期限は未定のままにします。
発話12 担当B
この記録は、会話を短くしただけではなく、決定、作業、未決に分けて残しましょう。配布する前には二人で内容を読み直します。特に、九千八百円と二十人を確定事項にしないことを確認して、今日の練習を終わります。
発話02の9,800円も、発話08の12人も、重要そうな数字です。ただし、9,800円には「案」「まだ原価を確認していない」が付き、12人には「決定」が付きます。数字の前後にある言葉が、抽出先を変えます。

依頼例:抽出する内容と、根拠に戻る列を指定する
「会話を簡潔にまとめて」だけでなく、どの区分へ何を残すかを指定します。次の依頼文と、上の発話01〜12を一緒に使えます。実務では、入力してよい記録だけを使い、不要な個人情報を除いてください。
目的:議事録を配布する前に、会話から抽出した内容を原文と照合する。 入力:発話01〜12の自作台本。2026年の架空講座の準備という設定。 この台本だけを根拠にし、音声を聞いたとは書かない。 作業: 1. 決定事項、担当作業、未決事項に分けて抽出する。 2. 一行につき一つの決定・作業・未決事項とする。 3. 各行へ、根拠の発話番号と、落とすと意味が変わる条件を付ける。 4. 作業は担当・行動・期限を残す。原文にない担当や期限は未定とする。 5. 訂正された旧案は採用せず、何に訂正されたかを示す。 6. 同じ人が担当する別の作業でも、責任や承認権限を広げない。 7. 料金の確認担当など、必要そうでも未決の仕事を勝手に割り当てない。 出力:区分/抽出した内容/根拠の発話番号/落とせない条件。 最後に、採用しなかった金額・人数・担当の案と、その理由を別欄へ書く。 時刻の根拠がなければ、会話中の再生時刻を作らない。 参加者確認済み・承認済みとも書かない。
「根拠を付ける」だけでは足りません。根拠の番号が存在していても、その発言が抽出した結論を支えていない場合があるためです。次の例では、番号まで付いた誤りを点検します。
番号が付いていても、採用できない5つの抽出例
下表は、間違いを説明するために意図的に作った例です。特定のAIサービスから得た実出力や、誤りの発生率を測った結果ではありません。「それらしい議事録」をそのまま採用せず、原文へ戻る練習に使ってください。
| 誤った抽出例 | 付いていた根拠 | 原文へ戻ると分かること |
|---|---|---|
| 参加費は9,800円に決定 | 発話02 | 02は金額の案を出したうえで、料金を確定しないと明示。数字の一致は、決定の根拠にならない。 |
| 募集定員は20人 | 発話08 | 08は以前の20人を12人へ訂正している。旧案の数字だけを拾っている。 |
| 担当Bが10月9日12時までに料金を承認する | 発話04 | Bが引き受けたのは初稿の修正箇所をまとめる作業。料金の承認ではないと同じ発話で明示している。 |
| 欠席者向けに録画を配布する | 発話05 | 便利かもしれないという提案。配布の有無も範囲も未決で、配布ありと書かないよう求めている。 |
| 担当Aが10月8日17時までに原価を確認する | 発話03・09 | 03の担当と期限は案内原稿のもの。09は原価確認をAへ割り当てないと明示し、11でも担当と期限を未定にしている。 |
5行目は、正しい部品を組み合わせた誤りです。「担当A」も「10月8日17時」も原文にありますが、違う仕事へ付け替わっています。名詞や日付の存在だけを確認するのではなく、誰が、どの行動を、いつまでにするのかを一組で戻す必要があります。
修正後の抽出例:11行を会話へ戻して確かめる
以下は、この原稿を制作するAIが台本と照合して作った完成例です。会議参加者の承認や実音源との照合を済ませた議事録ではありません。2026年・日本時間という入力条件を使い、決定4行、担当作業3行、未決4行に整理しました。行数をそろえること自体が合格条件ではありません。
| 区分 | 抽出した内容 | 根拠の発話 | 落とせない条件 |
|---|---|---|---|
| 決定 | 開催は2026年11月18日(水)19:00〜20:00、日本時間。 | 01・02・10・11 | 01の日時に02が同意。年は教材の入力条件。 |
| 決定 | 対象は、教室の案内文を改善したい運営者。 | 01・10 | 対象者を追加したり、経験年数を推測したりしない。 |
| 決定 | 募集定員は12人。 | 08・09・10 | 20人は以前の案。現在の募集人数に残さない。 |
| 決定 | 案内文の点検シート1枚を配布する。欄は「対象者」「当日の作業」「日時と場所」の3点。 | 06・07・10 | 料金判断の表は含めない。録画配布と混ぜない。 |
| 担当作業 | 担当Aが案内ページの初稿を10月8日(木)17:00までに作る。 | 03・11 | 日時・対象者・進め方を入れる。料金欄は未定。 |
| 担当作業 | 担当Bが初稿の修正箇所を10月9日(金)12:00までにまとめる。 | 04・11 | 原稿の確認であり、料金の承認を含まない。 |
| 担当作業 | 担当Aが点検シートを10月13日(火)17:00までに用意する。 | 07・11 | 3欄・1枚という決定に合わせる。 |
| 未決 | 参加費は未定。 | 02・03・09・11 | 9,800円は候補。原価確認前なので公開用の確定料金にしない。 |
| 未決 | 録画配布の有無と範囲は未定。 | 05・06・11 | 配布あり・なしのどちらにも決めない。 |
| 未決 | 申し込みの受付開始日は未定。 | 08・09・11 | 開催日や原稿締切から逆算して決定扱いにしない。 |
| 未決 | 料金の原価確認の担当者と期限は未定。 | 09・11 | 担当Aの原稿作成とは別。次の相談で決める。 |
9,800円や20人を消して終わりにすると、なぜ採用しなかったかを後から追えません。本文へ採用しなかった情報も、点検用には次のように残せます。
採用しなかった情報:9,800円は料金候補として保留(発話02)。20人は12人へ訂正された旧案(発話08)。担当Aによる原価確認は、担当者が決まっていないため作業にしない(発話09・11)。担当Bの料金承認は、原稿確認の範囲に含まれない(発話04)。
この欄は、提案を確定事項へ変えてしまわないための点検メモです。配布用の議事録へ何を残すかは別に整えます。元の12発話、短い議事録の見本、根拠の対応表は、次のZIPでも確認できます。本文の誤抽出5行と訂正表は、このページで追加した解説です。
出力を受け取ったら、一行につき三つを確認する
まず「番号がある」、次に「同じ話をしている」、最後に「結論の強さが合う」の順で読みます。発話02へ戻れたとしても、そこに金額があるという確認だけでは不十分です。料金を確定しないという後半まで読んで、未決の行に置かれているかを確かめます。
担当作業では、別の行から期限だけを借りていないかを見ます。発話10は作業を日付だけで振り返っていますが、03・04・07と11には時刻があります。短い総括だけを使って17時や12時を落としたときは、元の担当発言へ戻せます。
訂正は、単に後の発言を優先する規則にはしません。この例で12人を採用するのは、08に「修正」「決定」「20人は以前の案」とあるからです。別の会話で、後の発言が「12人に減らしてはどうか」という提案だけなら、同じ採用はできません。
根拠が不足した行を見つけたら、全体をまた要約させるより、該当行と発話を指定して直します。例えば、次の依頼なら修正対象を絞れます。
「担当Aが10月8日17時までに原価確認」の行を再確認してください。発話03の期限は案内原稿、発話09・11では料金確認の担当と期限は未定です。この行を未決へ修正し、他の確定作業3件は元の担当と期限のまま残してください。修正前、修正後、根拠の発話番号を示してください。
実務でその修正が返ってきたら、指定した行だけでなく、残すよう頼んだ3作業も照合します。依頼を具体的にしたことと、実際の出力が条件を満たしたことは分けて確認します。
音声から始める場合は、文字起こしの確認を先に置く
ここまで扱ったのは、文字として渡された会話の抽出です。実際の録音を使う場合は、その前に、発言が正しく文字になっているかを確かめます。「録画なし」を「録画あり」と起こしていたら、後の要約だけを直しても元の誤りは残るからです。
Microsoft Teamsの公式資料では、ライブ文字起こしの話者名・タイムスタンプ、会議の言語設定、権限に応じたダウンロードが説明されています。2026年10月2日に本文を再確認しました。この説明は製品の公式仕様であり、今回の台本をTeamsで処理した実績ではありません。
利用できる原音があれば、金額、否定、言い直し、担当者を優先して聞き直し、確認した再生位置を残します。今回の発話番号から録音の時刻を推測して作らないでください。聞き取れない箇所や話者が不明な箇所は、確認待ちとして残します。
自分の会話記録へ置き換えるとき
最初から長時間の会議全体を一度に処理するより、一つの議題について、提案から結論まで追える範囲を選ぶと点検しやすくなります。前半の提案だけを切り出し、後半の訂正を含めない、といった切り方には注意してください。
- 扱ってよい会話記録を選び、話者・発話番号・記録の版・会議日をそろえる。必要な前後の発言も含める。
- 決定・担当作業・未決を抽出するよう依頼し、根拠番号と条件を列に残す。
- 金額、人数、担当、期限の行から原文へ戻り、別作業の情報や旧案が混ざっていないかを直す。
- 不足する決定は参加者へ確認する。AIの提案や自分の推測だけで担当や期限を確定しない。
参加者へ渡す前に、「どの発言を根拠にこの一行を書いたか」を説明できるか確かめてください。分からない行が一つあれば、その一行を確認待ちに戻せます。きれいな文章へ整える前に、会話から移す途中で意味が変わっていないかを点検する。それが、AIで議事録を作るときに押さえたい作業です。