WBSの作り方|サービス公開までの仕事を、完成物から分解する

大きな紙の家型フレームの下に原稿・画面・受付の小さなモジュールが並ぶ模型

こんにちは。バナナデスクです。

「原稿を書く、デザインする、公開する」と並べると、サービスの準備は三つで終わるように見えます。ところが公開直前になって、申込を受け取る人や、受付後に送る案内が決まっていないことに気づくかもしれません。

この抜けを探す時に役立つのがWBSです。思いついた作業を順番に書く前に、公開時に何が揃っていなければならないかを、完成物から分けていきます。

今回は、小さな相談サービスを公開する架空の仕事を、3階層に分解します。工程を増やすためではなく、誰にも割り当たっていない完成物を見つけるための例です。

WBSは、日程より先に仕事の範囲を決める

WBSはWork Breakdown Structureの略で、プロジェクトの範囲を、成果物を中心に階層へ分けるものです。PMIの2026年8月の解説でも、日程表や組織図との違い、合意した範囲を漏れや重複なく含める考え方が示されています。

「メールを送る」は活動です。「参加者向けの案内文と送信条件が揃っている」は確認できる成果物です。WBSでは後者を置き、その成果物を作る活動や順番、日付を後から予定へ落とします。

サービス公開から内容・ページ・受付へ分け、受付をフォームと受信確認へ分解するWBSの抜粋図
図は本文WBSの抜粋。番号は実施順ではなく、成果物の対応を示す。

この仕事の始点と完成を決める

項目 架空の公開案件
目的 案内文整理の相談サービスを、内容理解から受付まで使える状態で公開する
完成条件 提供条件を承認し、公開ページを表示でき、検証用の申込が担当者へ届き、受付後の案内と更新担当が決まっている
含むもの 内容、ページ、受付、引継ぎ、合意と検証の管理記録
含まないもの 広告配信、販売後の継続運用、新しい講座制作、独自の決済システム開発

売上や申込数の目標と、この制作の完成条件も分けます。公開できたことだけで、集客成果まで達成したとは扱いません。

サービス公開の3階層WBS

第1階層は全体、第2階層は五つの成果物のまとまり、第3階層は担当を決めて完了を確認できる単位です。番号は追跡用で、実施順を意味しません。

第1階層 第2階層 第3階層:管理する成果物
1 相談サービス公開 1.1 承認済みの内容 1.1.1 提供条件表/1.1.2 掲載原稿と根拠資料
1 相談サービス公開 1.2 公開ページ 1.2.1 PC・スマホ配置案/1.2.2 実装済みページと表示確認記録
1 相談サービス公開 1.3 受付の仕組み 1.3.1 入力フォームと送信後案内/1.3.2 受信確認記録と受付用文面
1 相談サービス公開 1.4 引継ぎ資料 1.4.1 原稿・画像原本と利用条件一覧/1.4.2 更新手順と担当一覧
1 相談サービス公開 1.5 管理記録 1.5.1 範囲・予定・分担の合意記録/1.5.2 変更・承認・公開判断の記録

管理記録を入れるのは、打ち合わせを無限に増やすためではありません。誰が何を承認したか、どの変更が公開対象へ入ったかも、完成までに必要だからです。今回の最下層は10項目です。この件数が、すべてのLP制作に必要な標準数ではありません。

項目名だけで迷う部分は、WBS辞書へ書く

辞書というと大きな文書に見えますが、一つの作業単位について「含む範囲、担当、完了条件、対象外」を補う表です。

項目 1.2.2 実装済みページと表示確認記録 1.3.2 受信確認記録と受付用文面
担当 制作担当 受付担当。技術部分は制作担当へ確認
含む範囲 承認済み原稿・画像の反映、リンク、PCと指定スマホ幅での表示 検証用入力の受信照合、重複・不足時の扱い、受付返信文
完了条件 承認案と一致し、欠けた画像や本文の横はみ出しがない。確認対象と結果を記録 送信したテストIDと受け取った記録が一致。担当が返信文と処理先を説明できる
前提 1.1.2原稿、1.2.1配置、利用可能な画像が確定 1.3.1フォームの設定と、受付条件が確定
含まないもの フォーム内部の受付処理は1.3で扱う 公開後の毎日の顧客対応。今回確認するのは運用開始の準備まで

1.2.2にも1.3.2にも「フォーム確認」とだけ書くと、同じ仕事を二重に数えるか、どちらかがやると思って抜けます。画面上のフォームへの到達と、送信内容の受付照合のように境界を分けてください。

漏れと重複を、完成条件から逆に点検する

公開後に必要なものを一つずつ挙げ、番号が付くかを確認します。

必要なもの 対応する番号 注意点
料金と対象範囲 1.1.1 文章だけ先行させず、条件を承認する
スマホで読めるページ 1.2.1、1.2.2 設計と実表示の確認を別の成果物にする
申込が届く状態 1.3.1、1.3.2 フォームの設置と受取確認を分ける
後から更新する材料 1.4.1、1.4.2 画像の完成品だけでなく原本と条件を残す
公開してよいという判断 1.5.2 未解決点がある場合の判断も残す

「全部入ったか」を調べる時に、思いついた広告や別商品の制作を足さないようにします。合意した対象外を含めれば充実するのではなく、範囲が変わるからです。必要なら追加理由と影響を確認し、別の仕事として合意してから反映します。

分解できたら、活動・時間・順番を予定へ移す

たとえば1.1.2の原稿なら、資料確認1時間、初稿2時間、反映1時間という架空の作業見積もりを置けます。合計は4時間ですが、責任者の回答を2日待つなら、開始から完了まで4時間で済むわけではありません。

作業時間と経過期間を分け、どの成果物を受け取れば次を始められるかを予定表へ書きます。WBSの番号順に全部直列で並べる必要もありません。利用条件の確認と原稿整理など、前提が揃えば並行できるものを担当の余力と合わせて考えます。

最初のWBSを作ったら、担当予定の人へ「この完成条件で何が抜けていますか」と見てもらいます。細かい項目が多いことより、完成を同じ意味で確認できることを優先してください。