こんにちは。バナナデスクです。
提案書のPDFをAIに渡したら、「16万5,000円で、11月30日に公開する案です」と返ってきた。ひとまず内容はつかめた気がしますよね。
でも、後ろのページに「資料の提出が遅れた場合は日程を再調整」とあれば、11月30日は確約ではありません。要約を短くするほど、この条件が落ちていないかを見たくなります。
長いPDFをAIで要約するときは、知りたい問いを先に決め、答えと条件、その根拠があるページをセットで残すと確認しやすくなります。この記事では、6ページの架空資料を使い、料金・日程・対象外の作業を読み解いた完成例をお見せします。
PDF要約は「短くする」前に、判断することを決める
会議の前に概要を知りたいのか、発注してよいかを考えたいのかで、残す情報は変わります。前者なら目的と提案内容が中心です。後者なら、金額のほかに追加費用、納期の前提、依頼側が用意するものが必要になります。
「全体を300字にして」という依頼から始めると、短さに合う情報だけが残るかもしれません。私は、まず自分が決めたいことを質問にします。今回なら「基本案の金額でどこまで頼めるか」「予定日どおり進めるには何が必要か」の2つです。
AIの答えだけで発注を確定するための方法ではありません。答えから原文の確認箇所を絞り、必要な判断をするための読み方です。
テキストPDFと画像PDFで、読み取れる情報を確かめる
見た目が同じPDFでも、中身は違います。文書作成ソフトから出した文字情報のあるPDF、スキャン画像だけのPDF、画像の後ろにOCRで読み取った文字が付いたPDFがあります。文字を選択・コピーできるかは、最初の切り分けになります。
ただし、コピーできても、表の列や注釈の順序まで正しく読み取れるとは限りません。今回使用したテキスト抽出ライブラリのpypdfの公式資料でも、表・画像・脚注などの扱いが難しく、画像内の文字はOCRなしでは抽出できないと説明されています。
AIサービス側も一律ではありません。例えばGemini APIの公式資料はPDF内の画像や図表を含む処理を説明していますが、これはAPIの説明です。普段使っているチャット画面のプランや添付条件へ、そのまま当てはめることはできません。
添付前に、対象形式、ファイル容量、ページ数、画像の扱いを使うサービスで確認します。先頭だけを処理した結果を全体の要約として読まないよう、読めた範囲も尋ねてください。読めないページがあるなら、その箇所を別ファイルに分ける、より鮮明な原本を用意するなど、入力を直してから進めます。
実際に作った6ページ資料で、要約と原文を照合する
練習用の資料は「秋の学びフェア 告知サイト改善案」です。実在の顧客や料金ではありません。表紙を含め6ページで、3ページに制作範囲、4ページに日程、5ページに料金、6ページに例外を置いています。
制作時には、このテキストPDFから全6ページをページごとに抽出し、編集担当AIへ渡して回答を作成しました。さらに、PDFを画像にした全6ページと照合しています。特定のチャット製品へファイルを添付する画面操作や、数百ページでの処理性能を試したものではありません。
元のPDFは登録なしで開けます。下の答えを先に読まず、料金と修正回数だけ探してみると、概要と条件の違いを確かめられます。
AIに渡す問いの例
添付した提案資料だけを根拠に、発注を検討する担当者向けに整理してください。
まず読み取れたページ範囲と、読めない表・画像があるかを示してください。
質問:基本料金、追加費用、公開日の前提、修正回数、公開後の対応期間、対象外の作業、未確定事項は何ですか。
回答は「問い/短い答え/適用条件・例外/PDF上のページ番号と節名」の表にしてください。
原文に書かれていない費用・日付・担当者は未確定としてください。概要だけで決めず、後半の条件も照合してください。
資料に矛盾がある場合は一方を勝手に採用せず、双方の位置を示してください。
「本文にない項目を埋めない」という条件を付けても、それだけで正しさは保証されません。答えを確認するために、質問ごとの根拠の位置を残します。
| 問い | 作成した答えと条件 | 原文の位置 |
|---|---|---|
| 基本案はいくらか | 165,000円(税込)。情報整理・編集110,000円と反映・表示確認55,000円の合計。外部サービス費などは別途確認。 | 5ページ「基本制作費」「合計にできないもの」 |
| 英語対応まで含むか | 含まない。英語版原稿は55,000円を追加。基本案と合わせ220,000円(税込)。その追加にも多言語サイト開発は含まない。 | 5ページ「選択できる追加作業」 |
| 11月30日に必ず公開できるか | 公開目標。11月4日の資料提出と11月16日の返答が前提。遅延時は日程を再調整し、遅れた日数だけ機械的に延ばす規定ではない。 | 4ページ「第4週・第5週」、6ページ「資料が遅れた場合」 |
| 修正は何回か | 3ページをまとめた修正指示が1回。各ページ1回ずつではない。合意した指示の反映漏れの訂正は別扱い。 | 3ページ「修正の回数」、6ページ「基本案から変わる場合」 |
| 公開後の対応はいつまでか | 公開日を1日目とする14暦日。11月30日公開なら12月13日まで。希望者向けの月次更新とは別。 | 4ページ「第6週までの確認」、5ページ「公開後の更新」 |
| 受付フォームを作るか | 既存の外部受付へのリンク設置まで。フォーム開発は対象外。本番で受理されるかのテストは事務局担当者が行う。 | 3ページ「申し込みへの接続」 |
| 承認者と外部サービス費は決まっているか | どちらも未確定。資料にない担当者名や金額を補完しない。 | 6ページ「未確定の項目」 |

図のページ番号は、この架空PDFのものです。料金だけは5ページで答えられますが、公開予定日は4ページと6ページを合わせて読む必要があります。一つの答えが一つの段落だけに収まるとは限りません。
短い答えから落ちやすい3つの条件
「込み」の範囲を金額の隣へ戻す
165,000円は、3ページの基本制作費です。英語版原稿を付ければ55,000円が追加され、合計220,000円になります。どちらも税込の架空価格です。外部受付サービスの利用料や写真の購入費は未定なので、「総予算は22万円あれば足りる」とは言えません。
また、希望者向けの月次更新11,000円は継続費です。初回制作費に一度だけ足して、以降の支払いを見えなくするのも違います。計算の前に、何の期間・範囲の費用かをそろえましょう。
「予定」と「確約」を区別する
11月30日は公開目標です。11月4日に資料、11月16日に修正指示がそろうことが前提です。6ページには遅延時の再調整が書かれているため、「必ず11月30日公開」と言い換えられません。
一方、公開後の確認対応は「公開日を1日目とする14暦日」です。11月30日なら12月13日まで。14営業日でも、公開日の翌日から14日でもありません。日数の定義を読み飛ばすと、要約の期限がずれます。
「修正1回」の単位を確かめる
この資料の修正は、3ページ全体の指示をまとめて1回です。「各ページで1回ずつ、合計3回」に変えると条件が違います。反映漏れの訂正は別扱いなので、「どんな訂正も1回しかできない」という要約も過剰です。
回数、人数、ページ数のような小さな数字ほど、何に対する数かを残すと実務で使える答えになります。
要約を受け取った後の、原文へ戻る手順
- 元ファイルの名称・版・全ページ数と、AIが読んだ範囲を照合する。
- 金額・日付・回数・対象外の条件は、記載されたページを開く。
- 答えの根拠となる文章の前後を読み、例外や別ページへの参照がないか探す。
- 不足や矛盾を見つけたら、そのページを指定して答えの修正を依頼する。
- 資料にない項目は未確定のまま、依頼先へ確認する項目として残す。
PDFの画面上のページと、紙面に印刷されたページ番号がずれる資料もあります。「PDFの7枚目/印刷ページ5」のように両方を記録すると、別の人が同じ場所を開きやすくなります。今回の教材は画面の順番と印刷番号を1〜6にそろえています。
引用らしい文章やページ番号が付いていても、そこに書いてあることまでは確認が必要です。存在しない節名や、別の条件を指した番号なら、要約を採用する前に直します。
最初の1本は、3つの問いから始める
手元のPDFで「いくらか」「いつまでか」「何が対象外か」の3つを質問してみてください。各答えの横にページ番号を書き、実際にそのページを開きます。これだけでも、読むべき場所を見失わずに概要をつかめます。
全ページを短文へ押し込むことより、必要な問いに答えられ、条件を確かめ直せること。その形で残しておくと、打ち合わせで追加の疑問が出たときも原文へ戻れます。