← 全20章の目次へ / 第6章
PHASE 06
自分の使命とビジネスの使命
1 お金を稼ぐことの先にある原動力
物質的な満足の先にある使命
前章で、あなたの頭の中にある「どうせ自分には無理だ」という思い込み(セルフイメージ)を書き換えました。しかし、ここで9割の人間が陥る致命的な罠があります。それは「お金を稼ぐこと」自体を、最終的な目的地(ゴール)に設定してしまうことです。
厳しい人間の脳の仕組みをお伝えします。 「お金が欲しい」「毎日高級な寿司を食べたい」「タワマンに住んで高級車に乗りたい」といった物質的な欲求は、確かに最初の原動力としては強力です。しかし、人間の脳はすぐにその刺激に「飽きる」ようにできています。
SNSで、高級ブランド品や車を買い、華やかな暮らしを発信する姿を見ることがあります。しかし、物質的な刺激は、さらに強い刺激を求める流れにもつながります。外から見える豊かさだけで、心が満たされているかどうかは分からないのです。
収入を得た後に道を見失った教え子たち
私自身、過去に直接ビジネスを指導し、年収3000万円以上を稼ぎ出すまでに引き上げた弟子たちが何人もいました。しかし、ここで恐ろしい事実をお話しします。
その中で、誰にどのような価値を届けるのかという確かな使命を持っていた1名を除き、お金や豊かな暮らしだけを目標にしていた教え子たちは、大きな収入を得た後に精神的なバランスを崩してしまいました。夜の街やギャンブルにのめり込んだ人も、不確かな投資話で全財産を失った人もいました。事業の崩壊や自己破産に至る姿を、私は目にしたのです。
お金を得た後も、自分が何のために事業を続けるのか。その軸を持つことの大切さを、この経験から学びました。
私を襲った孤独な数字遊びの虚無感
私自身も、かつてアフィリエイトという手法で這い上がり、月収100万、1000万と利益を生み出せるようになった時、ふと恐ろしい「虚無感」に襲われた時期がありました。
欲しいものは値段を見ずに買える。高級なレストランにも行ける。しかし、少しも心が満たされないのです。 薄暗い部屋で一人、パソコンの画面に向かって、銀行口座の残高のケタが増えていくのをただ眺める毎日。「自分は一生、このモニターの前でただ数字を増やすだけのゲームをして死んでいくのか?」 そう気づいた瞬間、猛烈な勢いでタイピングしていた私の手は、ピタッと止まってしまったのです。
- 欲しいものを得る
- 本当に大切なことを問う
- 使命を見つける
私が数字の先に求めたもの
他人の人生が変わる瞬間の圧倒的な熱狂
しかしその後、私が孤独な作業部屋から飛び出し、リアルなコミュニティという「人を変える場」を作ったとき、私の中で爆発的なエネルギーが蘇りました。
昨日まで会社のパワハラで疲れ切った表情をしていた教え子が、私の教えたノウハウで月収100万円を達成し、「岡田さん、ついに会社に辞表を出してきました!」と震える声で報告してくる。人生のどん底にいた人間が、気づけば私以上に稼ぐ立派な経営者へと成長し、笑顔で私にご飯をご馳走してくれる。
その、他人の人生が180度ひっくり返る瞬間に立ち会ったとき、単なる「自分の口座残高が増えること」では得られない、魂が震えるような感動と熱狂を覚えたのです。
一生枯渇することのない無限のモチベーション(永久機関)を手に入れるためには、金銭欲のさらに奥底にある「自分がこの世に生まれた意味(使命)」という、より高い次元の目的を脳にセットしなければなりません。 「ビジネス」とは、あなたの使命を実現するための単なる「手段」にすぎないという、成功者たちのルールを理解してください。
2 自分の使命を見つける5つの質問
以下の5つの質問に、世間体や建前にとらわれず、率直に答えてみてください。自分が本当に大切にしたいことを見つけるための問いです。私自身も、事業で迷いや壁にぶつかると、ここに立ち返ります。
① 人生で受け入れられない苦痛は何か
人は、望むものを得ようとするときだけでなく、避けたい苦痛から離れようとするときにも、大きな力を発揮します。満員電車での通勤、理不尽な上司への対応、大切な家族を経済的に支えられない無力感など、自分が避けたい現実を書き出してください。その思いを、行動の原動力として捉えます。
② この世界でぜひとも成し遂げたいことは何か
あなたがこの世界で証明したい自らの存在価値、ぜひとも手に入れたい理想の光景を文字にして書き出してください。
立派に聞こえる答えをつくる必要はありません。「自分を軽く見ていた人を見返したい」「経済的な余裕を持ち、合わない人間関係から離れたい」という本音でもよいのです。悔しさや、自分の人生を自分で決めたいという欲求を、事業に向き合う力へと変えていきます。
他人の目や世間の常識といった雑音を遮断し、純度100%の自己中心的な欲求で構いません。あなたがこの世界で証明したい自らの存在価値、ぜひとも手に入れたい理想の光景を文字にして書き出してください。
③ お金と時間が無限にあれば何をするか
お金と時間に制約がないと仮定します。フェラーリを買う、タワーマンションの最上階に住むなど、欲しいものを十分に手に入れた後、それでも人との関わりの中で続けたいことは何でしょうか。
④ 他人に対して提供できる自分だけの強みは何か
人より少しだけ作業が速いこと、苦にならずに息をするようにこなせることは何ですか? 圧倒的な天才である必要はありません。それこそが、あなたがこの資本主義というゲームを勝ち抜くために、初期装備として与えられた「固有の強み」です。
⑤ 自らの命 残りの時間を全振りしてでも やりたいことは何か
使命とは、文字通り「命(時間)を使うこと」です。いつか必ず死を迎えるあなたが、残された時間をすべて注ぎ込んでも後悔しない対象。これこそが、あなたを一生突き動かす「確かな軸」となります。
3 個人の欲望を市場で存在感を築く力へと変換する法則
自分の使命が見えてきたら、その思いを市場と結びつけていきます。自分が実現したいことを、顧客がお金を払う価値のある事業へと変換する作業です。
目的 ゴールの明確化が 脳の自動思考を起動する
事業の目的が明確になると、「どうすればそこに到達できるか」という問いが、日常の判断を方向づけます。直接その問題に向き合っていない時間にも、解決への手がかりを探すようになるのです。
ドラッカーの5つの質問
ここで、現代経営学の父であり、世界中の市場を牽引するトップ経営者たちがこぞって身につけている最強のルールを用いて、あなたのビジネスを根底から作り直します。 それが、ピーター・ドラッカーが提唱した「5つの質問」という、経営における確かな法則です。
- われわれの使命は何か
- われわれの顧客は誰か
- 顧客にとっての価値は何か
- われわれの成果は何か
- われわれの計画は何か
4 事業を見直すドラッカーの5つの質問
あなたのビジネスが、一過性の「小銭稼ぎ」で終わるか、それとも熱狂的なファンを生み出す「確かなブランド」になるかは、この5つの問いにどう答えるかにかかっています。
第一の問い われわれの使命 本当の目的は何か
あなたがビジネスという道具を通じて、この社会にどんな「変化」を起こしたいのか。自分の自己満足ではなく、「どんな痛みを抱えた人間を、どう救い出すのか」という一番上の目的を決めます。
第二の問い われわれの顧客 ターゲットは誰か
対象とするお客様を、できる限り明確にします。誰にでも役立とうとすると、かえって誰にも十分な価値が届かなくなりがちです。「この人の状況をよくしたい」と思える、具体的な顧客像を定めてください。
第三の問い 顧客にとっての真の価値は何か
多くの人々が本当にお金を払っている理由は、あなたの「商品そのもの」ではありません。その商品を通して得られる「欲求の満足(コンプレックスの解消、認められたい欲求、優越感への渇望)」です。ターゲットの心にぽっかりと空いた「心の隙間(痛みの正体)」を正確に見抜いてください。
第四の問い われわれの成果 本当の結果は何か
私がここで重視する成果は、売上だけではありません。使命に基づいて、顧客の状況がどれだけよくなったかという貢献度合いです。その成果を追求することが、後の売上につながると考えています。
第五の問い われわれの計画 具体的な行動は何か
ここまで決めた壮大な使命と提供する価値を、「今日、自分がやるべき具体的な作業」にまで極限まで細かく落とし込みます。夢をただの頭の中のイメージで終わらせないための、冷徹で徹底した「実行計画(設計図)」の完成です。
5 まとめ 個人の欲望と市場の完全一致 揺るぎない軸の完成
あなたの心の奥底に眠る「命を懸けた確かな欲望(個人の使命)」と、市場が渇望する「本当の価値提供(ビジネスの使命)」が一直線に繋がった瞬間、あなたの行動力は無限のエネルギーを生み出し始めます。 これこそが、どんなノウハウの流行り廃りにも一切ブレることのない、あなた自身の「強固な軸」の完成です。
次章へ 行動を支える仕組みをつくる
これで【第2フェーズ:自己認識と使命の発見】のプロセスが完了し、あなたのマインド(考え方)の土台は完璧に仕上がりました。 いよいよ次回から、この内側で燃え滾る圧倒的な熱量を「現実の成果(お金)」へと変換していくための、
【第3フェーズ:実行力(アウトプット)の極大化】へと移行します。
しかし、ここでまたしても人間ならではの「弱さ(依存的な考え)」があなたの邪魔をしてきます。 どんなに立派な使命を心に刻んでも、いざ日々の泥臭い作業に向き合った途端、人間特有の「依存的な考え」や「言い訳」が必ず顔を出します。
次章では、その「依存的な考え」が発生した瞬間に自らの思考を論理的に切り裂き、意識的に作業へと引き戻す仕組み、【Phase.07 行動を支える7つの問いと3つの原則】をお届けします。
次章では、行動が止まりそうなときに立ち返るための、自問自答の方法をお伝えします。自分を責めるのではなく、作業に戻るための仕組みとして使ってください。