売り手市場とは?嘘?いつまで続く?

2018年3月1日企業の採用活動が解禁となり2019年春卒業予定の大学生を対象とする会社説明会が開始されました。ニュースなどでは、今年も学生の「売り手市場」が鮮明とのこと。

各企業は「残業時間を減らす取り組み」や「働きやすさ」をアピールして人材の確保を図っています。

記事の目次

売り手市場とは?

売り手市場とは売り手が優位になっている状態のことをいいます。

  • 売り手=学生
  • 買い手=企業

買い手にくらべて売り手が少ない売り手市場では、企業は人材確保のためにあらゆるメリットを打ち立てて求人することになるのです。反対に買い手市場となるのは、学生がたくさん求職しているにもかかわらず、企業での採用が少ないといういわゆる「就職氷河期」を指します。

今年、売り手市場なのは企業の「人材不足」が原因であるともいわれています。ですが企業が不足しているという人材とは「優秀な人材」なのです。

そのため人手不足にもかかわらず中途採用は極めて少ないといえるでしょう。そういった背景での今年の就職活動では、企業選びは慎重にならなくてはいけません。


優秀な人材とは


企業が優秀な人材を求めている、そして中途採用はしない。そのことが何を意味しているのか学生のみなさんはおわかりでしょうか。その前に優秀な人材とはどうゆうものなのかを考えてみましょう。

優秀な人材とは真面目に働き、企業に忠誠心のある社員をイメージします。ところが企業が求めているのは「会社の利益を生み出す人材」なのです。事務職であっても高い労働生産性を持った人間しか必要とされません。たとえば派遣事務などを雇い入れなくていいくらい正社員には仕事をしてもらうつもりなのです。

内定をもらえば会社は優秀な人材としてあなたを認めたことになります。しかしそれ以降も優秀な人材として認めてくれるかどうかはわかりません。はっきりいってかなりシビアな評価が待っていると考えた方がいいでしょう。


10年後の大量リストラ


そこで指摘されているのが「売り手市場」で就職した会社員の10年後の大量リストラです。その時に生きる力のない者は年収の低い「ワーキングプア」となるしかありません。そうならないためには2つ。

  • 力をつけて、会社の利益を生み出せる戦力になる
  • ダブルワークで自分の利益を生み出せる戦力にする

この2つに1つしか将来の安心はないのです。就職できて「おめでとう」といわれる時代はすでに終わりました。就職したとたんから生き残り戦争が始まるようなものです。

そのため熾烈な競争でもがんばっていけるように、「自分は何をしたいのか」「どういう風なキャリアを積みたいのか」をしっかりと考えなくてはなりません。売り手市場こそ学生にとっては安心ができないともいえるのです。

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売り手市場はいつまで続く?


少子高齢化による売り手市場


売り手市場になるのは、企業の業績がよくて、さらに売り上げを伸ばすために人員を強化するからです。そして業績が悪くなれば採用人数を抑えて買い手市場となってきました。これまでは基本的に景気に合わせて売り手市場と買い手市場が繰り返されてきたのです。

ところがこれからは違う要素も入ってきました。それは少子化です。大卒者がどんどんと減っていく中、企業は若い人を採用していかなくてはなりません。若い人材を確保できないことで事業の存続に危機感が生まれ始めているのです。昨年の「リクルートキャリア」の調査では1200社中半数以上の企業が予定の採用人員の確保ができなかったといいます。


売り手市場の中身


日本の人口が減少する中、高齢者は増えていくため若い労働力は貴重な人材です。求人倍率は去年に引き続き1.0を超えているので表向きは売り手市場となっています。しかし本当にこれが好景気と少子化によるものなのかと考える時、疑問を感じるのはわたしだけではないと思います。

国やマスコミが景気が良くなっているというほどに自分やまわりの消費動向が上がっているとは感じませんし、むしろ日本国内の消費は減少しているような気がします。それなのに売り手市場が続いているということは、特定の資格者や名門大学の卒業者を企業が奪い合っている構造があるのではないかと思うのです。


やりたい仕事と求人がかみ合わない


売り手市場になっている最大の原因としてあげられるのは、学生がその企業に就職してやりたい仕事と企業が求める求人がかみあっていないことです。

  • 希望する職種の給料が安い
  • 希望する職種はパートしか採用していない
  • 希望しない職種は給料が高い

このようなねじれ現象が起きているように思います。そのため実際の求人倍率は今後も高くなっていくでしょう。企業は昨年、確保できなかった分の人材を今年、来年と求人するからです。また学生は希望する職種につくにはパートや契約社員などの非正規雇用社員となることもあります。

ここまで読んでいただいてわかっていただけるかと思いますが売り手市場だからと言って、特別に学生が有利に就職できるということではないのです。学生のみなさんは企業選びに会社の待遇や過去にあった事件を参考にされているようです。

ほんとうに気にしなくてはならないのはその企業の将来性と自分が生きていく力をつけられるかどうかということです。できることなら、副業がOKの大企業を選び色んな可能性をもちつつキャリアを高めていってください。

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売り手市場で就活は失敗しない?


就職留年者の続出


売り手市場だから就活で失敗しない・・・なんてことはありません。売り手市場といわれている中「就職留年者」が続出しているといいます。就職留年とは希望の企業に採用されなかったため、単位を落とすなどして留年し、翌年もう一度新卒採用を受けるというものです。なぜ、売り手市場なのに就職留年が増えていっているのでしょうか。

  • 売り手市場だからと油断する
  • 自分に自信を持ちすぎている
  • 希望の企業しかエントリーしなかった

これらの理由で内定がとれずに就職留年を余儀なくされたということです。売り手市場だといっても誰もが希望する職種や人気企業は狭き門であることに間違いないでしょう。なぜなら大企業の採用選考の基準は売り手市場だからと言っても下がっておらず、求職者は多く集まるからです。


就活で成功する人の特徴


  • 努力家である

就活で成功する人は就活をしっかりと競争だと理解しています。そのため誰にも負けないように努力しています。努力とは準備に余念がないことです。志望動機、自分のやりたいこともしっかりと整理されています。

  • 自分を特別だと思わない

成績優秀な学生ほど、採用が決まることに自信を持っています。「自分は採用される」と思い込んでいる節があるのです。ですが実際に採用が決まるのは、自分を特別と考えず普通の学生として冷静に分析している人が多いです。

  • 業界をよく勉強している

面接で自信をつけるには、その企業の業界のことを知ることです。そのためどのような質問も理解ができるようになるため、自信を持つことができ落ち着いた態度が好印象となるのです。


売り手市場で就活を失敗した学生


反対に売り手市場であるにもかかわらず就活を失敗した学生にはみな「活動が遅い」という共通点があります。ライバルの学生たちはインターンシップなどで早期から起業に自分を売り込んでいます。

しかしうまくいかなかった学生はなぜか「売り手市場」という言葉に安心してしまい、動きが鈍くなっているのです。売り手市場だから就活がうまくいくとは決して保証されていません。就職氷河期のつもりで就活に取り組みましょう。

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売り手市場なんて嘘?


人気企業が売り手市場というのは嘘


ことごとく「すべての企業に落ちてしまった」という2018年新卒者たちは、なんと超人気の企業にしかエントリーしてなかったという。そして口をそろえて「売り手市場なんて嘘?」というのだからその気持ちはわからないこともないけれど・・・。

大学卒業間近になってもまだまだ世の中のことはわかっていないのかも知れません。どんなに売り手市場であっても人気企業は「買い手市場」なのです。


女性の雇用は安定しているというのは嘘


20代後半から30代にかけて女性は結婚出産により離職する率が高くなります。そして子育てが落ち着く40代後半になって女性は社会復帰することが多いのですが、多くの場合パートなどの勤務形態となります。

人手不足でも売り手市場でも女性の雇用が安定しているということはありません。まだまだ日本での女性の地位の低さが露呈されている問題です。また女性が管理職につくことも諸外国にくらべて圧倒的に低く、男女の年収の格差にもつながっています。就職も当然、男性の方が有利であることが暗黙の了解なのです。


最初の就職先によって社会人としての充実感が決まるというのは本当


就職先に対する満足度と社会人としての充実感は、立命館大学キャリアセンターの調査では見事に比例しているといいます。最初に決まった就職先に対する満足度が高いほど、その後の社会人としての充実感が高くなっています。

このことによって最初の就職先がいかに大事かを感じさせられます。就活は万全で望まなくてはならないのです。就活に失敗することで社会人としてのモチベーションが下がり仕事にも熱意が入らない、結果的に会社からの評価も悪くなってしまいます。


転職したら給料がよくなるというのは人それぞれ


そこで就活の失敗を反省し再チャレンジとして転職することにするという人は多いでしょう。実際に就職後3年以内に転職する人は新入社員の32%にも上るといいます。厚生労働省の「転職者実態調査」によると転職して53%の人が新しい職場に満足しているとあります。

一方、給料に関しては40%ほどの人しかアップしていません。これは意外な割合ですね。半分以上の人が給料は悪くなっているのです。そして年齢の若い転職者ほど給料がアップしている割合が多いという結果も出ました。転職するならなるべく若いうちにした方がいいということです。遅くても40代前半までに転職に踏み切った方がよさそうです。

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大企業に就職できたから将来安泰だ、という時代は終わりました。そのためにも、新卒の方々は売り手市場だと甘く考えずに、しっかりと自分を成長させる意識を持っておいた方がよいでしょう。

技術・知識・意識で自分をレベルアップさせていくことの大切さは、どこに就職しても同じです。投資やアフィリエイトなどの副業の道を知っておくことも、何かあった時の備えにつながるかもしれません。