女性起業家は今がチャンス?

女性が活躍する国を目指している安倍政権。日本は変わっていくのでしょうか。世界を見渡すとアイスランドが世界で一番男女格差がない国なのだとか。次いでノルウェー、フィンランドと北欧では女性の地位が認められています。

では日本はというと日本の男女格差は144ヶ国中、114位とさんざんな結果となっているのです。そんな日本の女性起業家にとってこの国はどのように映っているのでしょうか。

記事の目次

女性起業家資金イニシアティブとは?

「女性起業家資金イニシアティブ」といわれてピンとこない人も「イヴァンカ基金」といえば、「ああ、なるほど」と昨年のニュースを思い出してくれるでしょうか。昨年夏、発表されたニュースです。これがけっこう衝撃的な報道だったのでびっくりしたものです。

イヴァンカ基金とは?安倍晋三57億円拠出!?ポケットマネー?それとも税金?

このニュースに「アメリカトランプ大統領の娘イヴァンカが作った基金に、安倍首相が税金を57億円投じる」といった憶測が飛び交い、ネットでも騒がれていましたね。ですが、それは誤解ですので、ここであらためて「女性起業家資金イニシアティブ」が何なのかご説明したいと思います。

「女性起業家資金イニシアティブ」とは

「女性起業家資金イニシアティブ」(We-Fi)とは、G20に依頼されて世界銀行グループが作った途上国の女性起業家を支援する仕組みのことです。途上国では女性が経営する中小企業の70%が金融機関から融資を受けられずにいて、年間で3000億ドル近い資金不足に陥っています。

また人脈や知識、高価格市場へのつながりも資金不足により制約されているのです。そこで世界銀行が中心となって基金を立ち上げ資金10億円を調達することにしました。

協力国はオーストラリア・カナダ・中国・デンマーク・ドイツ・日本・オランダ・ノルウェー・サウジアラビア・韓国・アラブ首長国連邦・イギリス・アメリカの計13ヶ国となっています。日本からは5000万ドルが拠出される予定です。

拠出金は外貨準備高から運用されるため、直接的に税金からということでもありません。またイヴァンカ大統領補佐官が女性起業を強く支持してきたことで「イヴァンカ基金」といわれましたが、「女性起業家資金イニシアティブ」実施について資金調達や運営管理にイヴァンカは関与しないのです。

※外貨準備高とは

外国為替相場を安定させる目的で、各国の通貨当局が外国為替市場へ介入するために保有している資産の額。国が輸入代金の決済や、借金の返済などの対外支払いに充てるために持つ公的な準備資産としても使用されています。

安倍総理は「女性起業家資金イニシアティブ」について

「女性の活躍はアベノミクスの柱。女性の参画やリーダーシップの推進は、多様で活力のある組織と社会をもたらす。基金は、この考え方を途上国において実現するものであり、女性が輝く社会の実現のために大変有用なイニシアティブ。」と述べています。

引用:https://pixabay.com

出典:http://www.worldbank.org

女性起業家支援ネットワークとは?

女性起業家支援ネットワークとは経済産業省が推進する事業です。全国10ヶ所にある創業支援機関が女性の起業を支援するというものです。少子高齢化の勢いの止まらない日本ですが貴重な労働力として女性にもっと起業し活躍してもらうことを目的としています。

地域ネットワーク事業者は次の通りです。

  • 北海道:公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会
  • 東北:特定非営利活動法人 福島県ベンチャー・SOHO・テレワーカー共働機構
  • 関東:エキスパート・リンク株式会社
  • 中部:株式会社グローバルママ・ゲートウェイ
  • 北陸:公益財団法人石川県産業創出支援機構
  • 近畿:公益財団法人大阪市都市型産業振興センター
  • 中国:一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会
  • 四国:特定非営利活動法人ワークライフ・コラボ
  • 九州:一般社団法人九州ニュービジネス協議会
  • 沖縄:一般社団法人沖縄・ビジネスインキュベーション・プラザ

どんな支援をしているのか


女性起業家支援ネットワークでは起業を考えている女性、また起業したての女性にとって、必要な知識やアドバイスを同じ女性中小企業診断士や先輩起業家からサポートしてもらうことができます。

女性の夢の実現に向けた細やかな支援によって、これまであきらめていた起業を商工会議所、金融機関が連携して叶えてくれることが可能となったのです。

具体的な例を見てみましょう。

夫が体をこわして働けなくなった4児の母、小野桃子さん

資金調達といっても、うちのような小さなお店を相手にしてくれる金融機関なんてあるのだろうか?お金を借りるのに、事業計画書や必要な書類の書き方もわからない。。。ましてやまだその当時は次男をおんぶしての毎日の営業でしたので、子連れでどこへ相談に行けばよいのやら。。。とにかく分からない事だらけ。

そんな中、インターネットで見つけた「大分市産業活性化プラザ」へ創業支援の相談へ行ってみることに。するとそこから、金融機関の方や、助成金の事などを教えて頂いたり、ご紹介して頂いた中小企業診断士の方々にサポートして頂き、無事に資金調達、事業拡大をすることが出来ました。お蔭様で、店内を改装したり、事業拡大に伴って店舗を移転したりすることが出来ました。

ママサークルの活動から起業した新田昌恵さん

摂津市にはハンドメイドが得意なママが多く、その活動をもっと地域の人たちにも知ってもらいたいという思いが最初のきっかけでした。
だったらやってみようと考え(そのときはお金がどれくらいかかるかは考えていなかったのですが・・・)、プラザに相談。これまでは市民団体による全館貸しきりイベントでの利用はあまりなかったようですが、市民のためのイベントをやりたいと伝え、会場の仮予約をしました。

その後、市民活動支援課の担当者がまさにこういった活動がこれから必要と言ってくださり、活動を応援してくれる市の制度などの情報を教えてくださいました。補助金の申請、審査員を前にしたプレゼン、という初めての経験を経て、無事補助金も受けることができました。

小さな子供がいる女性社員のステージを作りたかった土肥恵里奈さん

とやま起業未来塾に入塾し、経営者の心得~ビジネスプランの作り方、プレゼンの仕方などを学ぶことにしました。未来塾ではママのコミュニティハウス「mamasky house」をしっかりとした事業の柱にするためのノウハウやアイディアを可視化し、ブラッシュアップを重ねることができました。卒塾後まもなくして、イメージ通りの物件を見つけることに成功し、2016年12月には当初から考えていた平屋一戸建てのmamasky houseがオープンしました。

引用:https://pixabay.com

出典:http://joseikigyo.go.jp/beginner/

女性起業家には支援制度や補助金・助成金が充実してる?

女性が起業するということはこれまで男性にくらべて困難だと言われてきました。じっさいに資金調達がうまくいかずに、起業を諦めた女性も多かったでしょう。ところが今は違います。女性が起業するにはチャンスが大きくなったのです。国をあげて「女性や青年による創業を促進する」という方針が定まりましたので、支援制度や補助金、助成金についてもこれからは積極的に利用できると考えていいでしょう。


女性の起業家が受けられる融資制度


  • 女性・若者・シニア起業家支援資金

日本政策金融公庫で募集している融資です。新たに起業する場合と起業から7年以内の会社であれば融資を受けることができます。融資は7200万円が限度額となっています。

  • ちふれ女性起業家支援制度

日本国内で起業を目指している「女性の視線で考えた夢のある事業」に対して資本金100万円を給付してくれます。設立後は株式の35%をちふれに譲渡することが条件となっています。また同時に貸し付けがあり1件当たり限度額900万円を年1.0%、無担保、無保証で利用することができます。応募期間が決まっていますのでちふれのホームページなどをマメにチェックするようにするといいでしょう。

※第5回の募集は2017年8月1日~2017年8月31日まででした。


女性の起業家が活用できる補助金・助成金


補助金と助成金は融資とは違い、原則的に返済の必要がありません。そのため、できることなら融資の前に申請しておきたいです。助成金は条件があえば受給できる可能性が高く、補助金は採択によって申請しても受給できないこともあります。また申請の期間が短い(1ヶ月程度)ので情報を集めておかなくてはなりません。

補助金・助成金の種類

  • 経済産業省

創業補助金、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金などがあり募集要件を満たしていれば、応募し審査を通過した場合に受給されます。採択率は毎回決まっておらず数%~80%までまちまちとなっているようです。

  • 厚生労働省

厚生労働省では雇用促進、キャリアアップに関して助成金を実施しています。助成金ですので要件を満たしていれば採択されますのでハードルがかなり低いです。人を雇用する予定があるのなら要チェックだといえるでしょう。

  • 自治体

市町村などの各自治体が地域の産業振興を目的に実施しています。補助金、助成金ともに地域によって差があるものの、起業する自治体の情報を見ておいた方がいいです。中には融資の利子補給、店舗の家賃補助、ホームページ作成費用補助などもありますのでくまなくチェックしておきましょう。

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女性起業家の職種は?

女性起業家が増えているのには「女性の経済的自立」を意識する人がとても多くなったという背景があります。会社や夫に依存しない生き方が多くの女性の目標となりました。起業することは簡単なことではないけれど、「自由とお金」を手に入れる方法でもあるのです。

ここでは女性がどんな職種で起業しているのかを見てみたいと思います。

  • ショップ開業

ショップにもいろいろありますが女性の場合、自分の趣味に特化したショップをオープンし起業するというケースがとてもうまくいっているようです。「焼きたてパン屋」「雑貨屋」「紅茶専門店」「ネイルサロン」など、もともと好きだったことだけに、楽しく成功できそうですね。

  • 在宅でフリーランス

インターネットのおかげで、じつにたくさんの仕事が在宅でできるようになりました。イラストレーターやコピーライターは子育てしながらでも起業できるということでやはり女性に人気です。またネットオークションや手作りアクセサリーの販売で稼いでいる起業家も多いです。

  • 移住して農業

農業は特別に国が応援しているので、補助金が潤沢です。また住む家も安く借りられたり、無料だったりします。今、都会のOLからいきなり農家になる女性は増えているのです。農産物を使ったオリジナルケーキなどを道の駅で販売したり、無農薬有機野菜を提携のレストランに買ってもらったりして売り上げを立てています。

  • 女性のためのコンサルタント

これから起業する女性のためのコンサルタントは、大変需要の多い職業となってきています。会社の設立方法から、税金、投資までをアドバイス。男性では行き届かない細やかなサポートは女性にとってありがたいサービスなのです。セミナーの講師としても人気となっています。

  • アフィリエイター

インターネットで広告料を得るアフィリエイターは、これからも伸びていく職業です。自分のこれまでの経験や知識で特化型サイトを作り、高収入を目指します。投資の必要がほとんどないことから、誰にでも始められる職業だといえるでしょう。

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女性起業家の有名人は?

起業したら大成功しそうな女性芸能人はというアンケートでは【1位:ローラ】、【2位:滝川クリステル】、【3位:小池栄子】という結果だったといいます。ちなみに4位以下は次の通り。

4位:イモトアヤコ

5位:菊川怜

6位:光浦靖子

7位:天海祐希

8位:指原莉乃

確かに女性起業家となりそうな方ばかりです。では、じっさいに起業した有名人を上げていきましょう。

  • 元AKB川崎希

株式会社アンティ・ミンス代表取締役

アパレルブランドで起業を成功させた川崎希さんですが、契約した中国工場の倒産やサロンが閉店になるなど苦労されています。とはいえ着眼点は鋭く最初から流行りの移り変わりの少ないメンズファッションで起業したことが成功の理由かも知れません。渋谷にオープンした店ではネイルサロンも展開していてAKBのメンバーも立ち寄るのだそうです。

現在、夫のアレクとの間にお子さんが生まれて、とても幸せそうですね。

  • 篠原欣子

テンプスタッフホールディングス会長

日本で最も成功した女性起業家といわれているのが篠原欣子さんです。1934年生まれ戦時中に育ったといいます。高校卒業後すぐに結婚するもすぐに離婚、その後イギリスやオーストラリアで秘書の仕事をしていました。

派遣会社であるテンプスタッフを立ち上げたのは1973年、事業が軌道に乗るまでは5年もかかったといいます。1990年には派遣業が急成長、2008年には東証に上場、世界13ヶ国に進出にするまでの大企業となり、資産10億ドルをもつ世界でも有数の大富豪となったのです。

  • 小室 淑恵

株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役

日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004を受賞した小室淑恵さんは、生産性の高い組織を作る「ワーク・ライフバランスコンサルティング」を900社を超える企業に提供、実業家として、同時に美人すぎる社長としても有名な方です。

数多くの講演活動を行う傍ら、内閣府の「男女共同参画会議 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する専門調査会」委員、「新しいライフスタイルの創出と地域再生に関する調査研究」研究委員会委員、「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」委員などを歴任してきました。

女性起業家というのは、とてもキラキラしていますね。信念やビジョンが際立っているように感じます。起業しようとして社長になったというよりも、「やりたいことをしているうちに起業していた」といった印象も強いです。

引用:https://www.pinterest.fr/