老後に必要なお金のシュミレーションとアドバイス

老後に対して漠然とした不安は誰もが持っているものですが、「なんとかなるさ」とまだまだ実感していないのが実情です。ここでは老後に必要なお金について見直してみたいと思います。

記事の目次

老後に必要なお金の月額と内訳


老後にも必要なお金


老後と聞いていくつくらいの年齢を想像しますか。老後とは、はるか先のことで遊ぶことも食べることも少なくなり、お金もあまりいらないのではないかというふうに考える人もいます。ですが老後とは一般的に60才からをいいます。あなたのまわりにいる60才を思い出してください。おそらくまだまだ現役世代とかわらず元気でいらっしゃると思います。

ライフスタイルも定年したからといって現役世代とほとんどかわらず、車も必要ですし旅行や食事に誘われるなどの交際費も同じようにかかってくるのです。しかし定年した途端に給料は入ってきません。年金が支給されるまでは退職金でしのぐこともできますが、年金だけで生活するようになってからも、支出はそれほど減らないのです。


老後に必要なお金の月額と内訳


厚生労働省が発表する一般的なモデル世帯の月額年金額は221,227円です。ところが総務省の家計調査によると1ヶ月の平均支出は247,862円(60才以上2人以上世帯)となっていて、公的年金だけで生活する場合では生活費は赤字となってしまうことになります。

<内訳>
・食費……59,952円
・住居……11,466円
・水道光熱……26,699円
・家具、家事……7,174円
・被服費等……4,720円
・保健医療……14,030円
・交通通信……24,397円
・教育……106円
・教養娯楽……21,276円
・その他……42,993円
(理美容、こづかい、交際費、嗜好品、諸雑費など)
・税金 社会保険料……35,048円

【合計……247,862円】

出展:https://allabout.co.jp/gm/gc/12583/

この内訳は平成29年2月の調査でわかった1ヶ月の平均支出ですが、その内訳からかなり節約した生活をしていることがわかります。被服費等についてもひと月4,720円と必要最低限となっているでしょう。


老後に必要なお金は物価上昇の影響を受ける


政府は経済政策として消費税の10%への引き上げと、毎年2%の物価の上昇を目標に取り組んでいます。ということは現在の高齢者が約25万円で生活することができても、将来的に生活費は30万円も40万円も必要になっていくということなのです。

物価が上がれば年金も上がりますが、年金は物価と同じように上がらないのが落とし穴となっているのをご存知でしょうか。物価が例えば2%上昇したとします。するとマクロ経済スライドによる調整が行われ、2%から0.9%差し引いた1.1%しか年金は上昇しないのです。

物価が上がることで日本経済は活性化し、賃金アップや雇用促進が進むでしょうが、結果的に年金生活者は生活に困窮することになります。

これでは生涯働き続けなくては食べることもままならないということになりかねません。そして老後に必要なお金は思ったよりも多くかかることを覚悟しておかなくてはなりません。

引用:https://pixabay.com

老後に必要なお金【賃貸の場合】

老後に必要なお金は1ヶ月25万円だといわれています。ですがそれは住宅にかかるお金が1万円と少しの場合です。ではこれが賃貸住宅だったとしたら、とても25万円では生活ができないことになります。


賃貸と分譲はどちらが得


これはよく議論されることですが、賃貸にも分譲にもどちらにもメリットがあり、デメリットがあります。スーモによる試算によると

30才から90才までの60年間賃貸住宅に住み続けた場合の家賃の総額は7,500万円

(家賃10万円、更新料を2年毎として計算)

一方、30才で4000万円の家を頭金ゼロ、金利1.2%、35年返済で住宅ローンを組むと7060万円

(総返済額4900万円、毎月管理費・修繕積立を毎月3万円、60年支払ったものとして計算)

出展:http://suumo.jp/journal/2017/08/31/140292/

こうしてみると賃貸と分譲のいずれにしても7000万円以上がかかっています。どちらが得かといえば、大きな差はないでしょう。

ですが分譲の場合は30才から35年たって返済期間が終わる65才からは、毎月管理費の3万円だけでいいということになります。一方、賃貸住宅では65才以降も毎月10万円の家賃が住み続ける限り必要となるのです。


老後も賃貸で住み続けるにはいくらいるか


では60才から90才まで賃貸に住み続けたとしたらいくら必要なのかというと、家賃10万円として3600万円、家賃5万円だとしても1800万円を支払わなくてはなりません。

そのため、分譲住宅で老後を過ごす場合にくらべて家賃が重たくのしかかってくるのです。ファイナンシャルプランナーの試算によると老後も賃貸住宅に住み続ける場合には、定年までに約5000万円の貯蓄が必要不可欠とのことです。

しかもそれは年金を20万円受け取った場合で計算されています。国民年金だけであった場合だと賃貸住宅で暮らすのはほぼ、不可能となります。

2017年には高齢者の生活保護受給が急増したことで過去最高の受給率を記録したといいますが、今後も増加の一途をたどるのではないでしょうか。


老後のことを考えると分譲住宅


若いうちには賃貸住宅は魅力的です。古くなったり、ライフスタイルと合わなくなったりすれば新しい賃貸住宅に引っ越せばいいわけですし、ご近所づきあいも苦労をすることはあまりありません。また転勤などがあった場合でも面倒がありません。

しかし老後に必要なお金の観点からよく検討してみると、若いうちに分譲住宅を購入しておくことがいかに安心かがわかります。たとえ、すぐには住まないとしても分譲住宅を購入する必要性を強く感じます。

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老後に必要なお金【夫婦・持ち家あり】

老後に必要なお金については持ち家があったとしても、安心できるというものではありません。それは年金の加入の仕方や期間によっては支給額が大きく異なるからです。


老後に夫婦でもらえる年金


例えば共働きで夫婦ともに厚生年金をかけていた場合にもらえる年金額は268,251円~290,610円です。これなら、ぜいたくをしない限りふつうの暮らしができるでしょう。このケースはとても恵まれて老後を過ごせることになります。また共働きであったことで、それなりの貯蓄もできているでしょう。

ところが夫だけが厚生年金をかけていて、妻は国民年金だったとします。そうなると受け取れる額は221,364円です。これだと老後に必要となる1ヶ月25万円に届きません。毎月3万円の赤字が出てしまうため、貯金を準備しておくか働きにでなくてはならないでしょう。


国民年金の場合


自営業などを営んでいて国民年金しか加入していなかった場合はもっと大変です。国民年金を夫婦で受け取れる額は平均で110,488円です。これでは持ち家に住んでいても暮らしていくことができません。60才から90才まで毎月15万円が足らないとなると、老後に必要となるお金は5400万円となります。

長年クリーニング店を営んでいた夫婦は「生活がきつい」といいます。食費や衣服代は切り詰めるだけ切り詰めて暮らしています。例えば、一番安いお米でおかずは根菜の煮たものくらいだそうです。肉や魚はほとんど買いません。コーヒーは当然、お茶すら買うのをためらい水道水を飲んでいます。

それでも長年お世話になってきた人へのお歳暮やお中元は節約するわけにもいきませんから、とにかく他のことでお金を使わないようにしています。冬場にそのお宅へ訪ねてみると暖房もついていませんでした。

これが、老後の年金暮らしの実情なのです。とてもではないけれど社会保障の行き届いた国とはいえないのではないでしょうか。


いよいよ困ったら持ち家を処分


加入していたのが国民年金だけの場合は、想像以上に厳しい生活を強いられます。ですが持ち家という最後の砦がありますので、売却という方法も選択肢のひとつとする事ができるのです。

夫婦で住み込みのマンション管理人を募集しているところは少ないですが、たまに目にします。そのような仕事を兼ねて次に住むところを検討してみるのもいいのではないでしょうか。その場合、家賃もいらないですので暮らしはずいぶんと楽になるでしょう。持ち家を手放すのは辛いことでもありますが、いずれは病院や介護施設に入ることになるかもしれません。

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老後に必要なお金【独身の男性・女性】

老後に必要なお金は一人暮らしだからといって、2人世帯の半分になるということはありません。むしろほとんど変わらないのではないでしょうか。


独身で受け取る年金


独身では男女ともに生活費は2人世帯とあまり変わらないのですが、受け取る額は半分ほどになってしまいます。厚生年金では1ヶ月145,305円、国民年金ではなんと55,244円しかありません。

では計算してみましょう。厚生年金では月に10万円ほどたらないことになります。60才から90才までいくら必要になるかというと、3600万円です。そして国民年金だけの場合ですと20万円近く足りませんから、7200万円を用意しておかなくてはまともな暮らしはできないということなのです。

独身で賃貸住宅に住むとなった場合は、さらに家賃分が上乗せとなります。それほどの貯蓄をしている人が果たしているのでしょうか。


生活保護をうける


老後に必要なお金がなくて生活ができなくなると、最後は「生活保護」に頼ることになります。生活保護の受給条件は

  • 生活を維持していけるだけの収入がないこと
  • 生活を援助してくれる身内がいないこと
  • 資産・財産がないこと

となっています。上記の条件を満たしているかは福祉事務所が徹底して調査します。また生活を援助してくれる身内がいないかについても、親、兄弟、子に連絡をし打診されます。そのため、身内に内緒で生活保護を受けることはできなでしょう。


老後に必要なお金・独身男性


独身男性の場合、老後に必要なお金を確保するには食費の節約にかかっています。ついつい惣菜などの出来合いを購入することや外食が多く、女性よりも食費が高い傾向にあります。また車を手放すことに抵抗が大きいのも男性の特徴です。車の維持費にかかる割合が大きくなることも問題だといえます。


老後に必要なお金・独身女性


独身女性の場合、老後とはいえ化粧品や身だしなみにお金がかかります。また友達づきあいもありランチなどの交際費も見ておかなくてはならないでしょう。そして孫にこづかいをやるなどといった出費も想定しておく必要があります。


独身で過ごす老後について


独身というのは気楽なようで、年をとると思っていた以上に孤独です。その上、じゅうぶんな年金がないことから人付き合いもおっくうになってしまうのです。ですが、人と交際しないことで認知症になる可能性も高まります。

こもってしまわず社会と触れ合う努力をするように気をつけた方がいいでしょう。また出来れば仕事を持つことをおすすめしたいと思います。

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老後に必要なお金の稼ぎ方

老後に必要なお金がとてもたくさんいることが浮き彫りとなってきました。そこでできることは「老後に必要なお金」を稼ぐことです。今、あなたは何才でどういう状態ですか。

お勤めしている30代のサラリーマン、またはOLですか。それともそろそろ老後が気なる50代の自営業者ですか。いずれにしても、老後はやってきます。今からでも遅くはありません。できることのすべてをやっていきましょう。


積み立てを増やす


老後に必要なお金を準備するには、まず現在の支出を見直して、その中からさらに積立貯金に回す必要があります。ムダな買い物、ムダな会費、ムダな付き合いなど貯金に回せそうなものがまだありませんか。老後に使えるお金を作るには、節約を徹底して1円でも多く貯金しなくてはなりません。

真剣に貯金をしている人は、自動販売機のコーヒーも買いません。それくらいシビアにならなくてはお金というのは出ていくばかりで貯まることはないのです。

とくに年収が1000万円以上ある収入のいいとされている世帯では、老後の貯蓄額が低いことも指摘されています。老後の時代がいざやってきて、本当に貯金をしっかりしていたのは年収700万円くらいの専業主婦世帯だという統計も出ています。


資産運用する


FXなどで現在ある資産を増やしましょう。資産を増やすためにはかなりの勉強が必要となりますが、それも老後に備えての投資です。初めのうちは簡単には稼げないでしょうが経験を積むうちにチャート分析ができるようになります。

そして投機に慣れてきたら株式を始めるのもいいかも知れません。若いうちに株で経験を積んでおけば、老後になってからも自信となって資産を運用できます。


副業を始める


副業を取り入れてダブルワーカーとなるのも手です。積極的に収入を増やすことで、老後の不安を少しでも解消しましょう。といってもアルバイトをするとか、店舗を構えて物を売ることではなく、インターネットを利用したビジネスを始めることです。

とくに有望なのが広告宣伝(アフィリエイト)。自分の動画などを掲載しアクセス数をもとに報酬が発生する物や、ブログで商品を紹介して購入されたらそのうちの数パーセントが報酬として支払われるものです。

老後に必要なお金は思っている以上に大金です。そして老後貧乏にならないためには、なるべく早く対策を打つことが何よりも大事になってきます。今の老人と数十年後の老人とではまた境遇が違ってくるでしょう。当然、数十年後はさらに老後の人生が厳しいものとなることが予測されます。

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